老体疲労破壊試験報告
10期(昭和46年卒) 若佐 則雄

1:試験目的
  東北大学ワンダーフォーゲル学部入学10周年を記念する。

2:試験要領
  当学年が3年の折、リーダーとして北アルプスで夏合宿を行ったが、その際集中地と
  した「雲の平祖父沢源頭」へ「8月6日午後3時」を期して集中する。

  集中期日については、予め予備調査を行い、その結果8月中旬の希望が多かったが天
  候にやや難があると考えられた。昭和44年の夏合宿においても10日以上(パーティ
  ーによっては2週間)もシュラフが乾かなかったほどの悪天候であったので、今回は
  その天候に重点をおいて、その次に希望のあった8月第一週の土曜日を集中日とした
  ものである。

3:試験結果
  当学年16名中8人が集中に成功、更に1期下の秋田、竹内両氏及び4期下の須田裕子
  氏(現野家夫人)も見事集中された。 当日(8月6日)前後は極めて天候もよろし
  く、集中地においては夜遅くまで、サントリーオールド角びん、ホワイトニッカの各
  酒を機嫌よく飲み干したうえ、当時の秀歌をよくこれだけ覚えていられたものだと感
  心しながら歌いあげ、その後ツェルトに分宿した。

  今回は、全般に天候に恵まれた快適な山行であった。

4.考察

 @ 我々はまだ充分に使用に耐え得ることがわかった。これに自信をもってより一層の
   努力をつむべきであろう。

 A 社会のしがらみの中にいると、長期の休暇を思い通りに取ることが難しいことは日
   々感じているがその中で11人も集中できた事は、山に向かう相変わらずの「もの
   ずきかげん」を感ずるものである。

 B 昭和44年の合宿時に移動現地本部として活躍し「フェニックス」の称号を与えれ
   た諸先輩にも御案内したにもかかわらず、1人の集中もなかったのは残念であっ
   た。

 C 矢崎太造先輩御夫婦に槍ヶ岳でお会いすることができたが、相変わらず山に入って
   おられる由。その若々しい姿に刺激されたものであった。

 D 次の試験予定としては、更に材料疲労が進行していると思われる5年後に行いた
   い。その頃には各氏とも新合金層を析出(二世誕生)しておられることが考えられ
   るので、例えば奈良田温泉白根荘で非破壊試験としてはどうだろうか。その後更に
   繰返し、ツメ、雲の平を試み、ラプチャー(破断)に到るまで続けてみたい。
昭和52年OB会報NO9より抜粋