部長就任のご挨拶
10期(昭和46年卒) 野家 啓一

 この度、前部長の吉田公平先生(第5期OB)が広島大学に転任されることになり、はからずも私がその後を受けてワンダーフォーゲル部の部長をお引受けすることになりました。初代の鈴木禄弥先生から数えて三代目ということになりますが、何分にも若輩の身、前任者のお二人に比べて貫禄のないこと甚だしく、正直言って心許なく思っている次第です。幸いにも、これまで副部長を務めてこられた直江真一さん(第15期OB)が引き続き協力して下さることになっておりますので、おぼつかないながらも二人三脚の体制でこれからのクラブを盛り立てていきたいと思っています。

 とりたてて抱負といったものはありませんが、昨年一昨年と事故が続いておりますので、交通標語ではありませんが「無事故」を第一の目標に掲げて現役部員の活動を側面から援助して行きたいと考えています。最近では部員の考え方も活動内容もわれわれの頃とは大きく様がわりし、時に「新人類」の行動には違和感を覚えることもありますが、山登りの基本と自然を愛する心については、今も昔も変わりはないものと思います。幸い、山に登ることと酒を飲むことにかけては、まだそれほど衰えてはいないつもりですので、学生諸君の良き相談相手になることができればというのが現在の心境です。

 「売家と唐様で書く三代目」という川柳もあるように、どうも三代目というのは、初代と二代目が築き上げた財産を食いつぶして身代を無くしてしまうのが世の習いのようです。そうならないよう、これまでの伝統を守り育てていくことに微力を尽くすつもりですが、そのためにもOBの皆様のお力添えが不可欠です。これからのクラブの発展のためにOB会のご指導とご助力をお願いして挨拶に代えさせて頂きます。

昭和62年OB会報NO18より抜粋