山で何が起きているか( 荒廃の森 )
事務局

 東北の山はうっそうとしたブナや杉、とど松などにおおわれた自然の宝庫である。その中に毎年6県で700km前後の林道が造られている。林道に限らず、各種の開発と自然破壊はいつもぶつかる大きな問題である。身近なところでは、二口林道がある。10年以上前に子供を背負って、できて間もない林道を歩いて峠越えしたことがあったが、崩壊と改修を繰り返すだけの役立たずの道は今も変わらずということのようである。

 交通路としての道のほかに、林業経営に必要な林道、過疎化対策としての林道、山岳観光道路としての林道など多くの道が山の中にはりめぐらされている。これらの道のすべてが問題だということでは決してない。しかしながら、林道の怖さは、山の実に奥深くまで入り込んでいき、自然に致命的な打撃を与えかねないということである。しかも公共事業という名のもとに。

 河北新報では今年の正月から年間企画で、東北の林道に焦点を当てた特集記事を組んでいる。第一部は「荒廃の森」と題して、二口林道(宮城)、真昼岳峰越林道(岩手一秋田)黒鴨林道(山形)、青秋林道(青森一秋田)、大滝林道、粕毛林道(秋田)、川俣桧枝岐林道(栃木一福島)、ぶな森林道(秋田)、鴬川林道、今井川林道、駒ノ王子林道(秋田)手代奥山林道(山形一秋田)、旧農免林道小田越線(岩手)などの現状を報告している。

 第二部では「壮大な虚像」と題して、田沢スーパー林道にスポットを当て、林道開発の虚実についてレポートしている。

昭和63年OB会報NO19より抜粋