夏合宿をぶりかえって
現役 (川俣、松浦、佐藤)
   日高の思い出         日高P 川俣 奨


 札内川8の沢出合にテントを張り、我々の夏合宿が始まりました。カムエクを目指し、札内岳まで縦走しましたが、その間、大パノラマや月光に輝く雲海などに大いに感動させられました。ピリカペタヌを下り、戸蔦別ヒュッテの荷入れ回収では、長い林道を大型トラックの荷台に乗せてもらうことができ、思わぬドライブを楽しみました。戸蔦岳に立ってみると、七ツ沼は干上がっており、残念でした。

 最終日、ピパイロから伏美岳への縦走の途中、ヒグマの親子がカールに現れました。性格の温和な熊さんらしく、間もなく姿を消しました。今では冗談の一つも出てきますが、その瞬間はさすがに肝が冷えました。入山初日のテントの火災(大事には至らなかった)で不吉な予感がしましたが、波乱万丈に富んだ合宿を、無事終えることができました。



   西表島の増水         西表島P 松浦 慎

 西表島で思い出すのは、イタジキ川が増水したことです。イタジキ川というのは、ちょうど島の中心部にある浦内川の支流の一つです。この川は、水が伏流になっている巨大な岩盤があったり、背がとどかないプールのような所を首までつかるような場所もあり、刺激のある場所です。なぜそんなに川が増水したことが印象に残っているかというと、あまりにも西表島の自然の力が大きくて、非常に心細かったからだと思います。みんな、自分一人でも生き残ろうという気持ちになっていました。

 無事に海の見える林道に着いた時の風景は、今でも目に焼き付いています。照りつける太陽に輝く青い海と白い海岸、まさに期待以上の景色でした。色とりどりの魚やサンゴが我々を待っていてくれました。大自然はもちろん、島の人々の暖かい人柄に触れることができた夏合宿でした。


   白神山地のブナ原生林     白神山地P 佐藤 知生

 ブナの原生林は、それを目のあたりにした我々を十分圧倒するものでした。一般に、白神山地と呼ばれている山域は、秋田県北部および青森県西部の大部分を網羅する広大なものです。主峰白神岳からの眺望は、西には夕日の沈む日本海、東には見渡す限りの峰々が続き、山域のスケールの大きさを肌で感じ取らせてくれるものでした。

 白神の核心部の赤石川では、増水に悩まされましたが、非常に穏やかな渓相で、岩魚を焚火で焼く毎日でした。追良瀬川は、赤石川に比べると険峻でしたが、特別な困難はなく、2泊であっさりと抜けてしまいました。

 赤石川、追良瀬川とも、ゴミの投げ捨てが非常に多く、ゴミを見るたびに口惜しい気持ちになりました。いずれにしろ、白神山地はまた訪れてみようと思っています。
平成2年OB会報NO21より抜粋