「おじさんたち山にのぼる」
八ヶ岳同窓会 (第22回生 58年卒)
22期(昭和58年卒) 西川 雅明

 【 日程 】 5月211日(土)〜22日(日) 1泊2日
 【 目的地 】北八ヶ岳(天狗岳)
 【 行程 】 21日 11時 茅野駅集合(食事,買い出し)
          〜14時 渋の湯発 〜 16時 黒百合平着 テント泊
        22日 10時 黒百合平発 〜 東天狗岳,西天狗岳往復
           〜12時 黒百合平 〜 14時 渋の湯着(温泉)解散

 【 参加者 】 新井,荒木,新本,石川,官野,高橋,土屋`(夫妻),西川

 そもそもこの山行企画はワンゲル数人が渋谷の居酒屋で酒を飲んでいた席に端を発していた。それはこんな内容の会話だったと思う。

 「ほとんどの奴が落ち着いちゃったしなあ。結婚式で集まれなくなった分,これからはみんなで集まるためには口実作らなくちゃいけないな。どうせ集まるなら同期でOB山行やったらいいんじゃないか? どこかいい場所? 八ヶ岳あたりで連休あけっていうのはどうだ?」

 卒業して11年も経てばたまに集まって街で酒を飲んでも山より会社の話が多くなる。それでも潜在意識の中では山への共通の思いがあったのか。。こういう場合,提案は何の障害もなく実行に移されるものである。

 同じ年に卒業したからといって体力はすでに一様ではない。未だに高校山岳部の顧問で毎週のように山に登りつづけている輩がいるー方で,10年間も山に行っていないという奴までいる。酒を飲むために登る山だからハードである必要はないのだが,TUWVにかつて在籍したという若干の自尊心もあるゆえ,それほどチンケな山に登るわけにもいかない。それに地理的に離れて住んでいるという問題もあり,みんなが一番アクセスしやすい場所となると結構選定は難しい。難しい条件の中で,北八ヶ岳の天狗岳が選ばれた。

 結局,同期13名中8人が集まった。この中には東京以外からの参加者として仙台(土屋),高崎(新井),松任(新本),袋井(高橋)がいる。差し入れにわざわざ渋の湯まで来てくれたものの残念ながら入れ違いで会えなかった手塚も含めて数入が参加できなかったが,点在して住んでいることを考えるとかなりの人数である。

 ともあれ21日の昼に茅野で集まってからタイムマシンは動き出した。ワンゲル時代のユニフォームを着て,ワンゲル言葉で,ワンゲル独特の悪い冗談をリバイバルし,昔話のほじくり返す,客観的な時間は間違いなく卒業以来流れ続けているのだが,一旦この枠組みの中に取り込まれると,それぞれがそれなりに分別のある中堅社会人として,あるいは父親として夫として生活していることがまるでフィクションのように思えてくるから不思議なものだ。エヅセンしながらワインをのみ,テントではウィスキーを,目覚めには雪渓で冷やしたビールをのむ。少々怠惰にはなっているが,12年前に戻ったような錯竟に陥る。

 そんな錯覚の中で唯一現実だったのが,ご覧の写真の中の紅一命,ミセス土屋。我々の世代は4年間完璧な男組だっただけに,女性といっしょに山に登るなんてことは余程運がよくなければできなかったし,運がよかった場合には「告白」(これワンゲル用語 わかるだろうか)しなければならなかった。ご覧の写真が12年前のものでない歴然たる証拠は,彼女が写っていることである。

 下山後,渋の湯で温泉に入り,来年もこうした同窓会山行をやろうという話がでた。秋口がいいんじゃなかろうか。秩父の山はどうだろう? そしてやがては家族連れにしてみては? ・‥・

 家族連れもいい案だが,その前に独身である高橋のために結婚期成同盟を作ることの方が先かもしれない。

平成7年OB会報NO25より抜粋