近況報告
19期(昭和55年卒) 小山 茂典

 アメリカのシリコンバレーに暮らして10年になります。最近のこの界隈のトピックを。

 ここ数年のネット・ビジネス・ブームを反映してとにかく金と人が集まり過ぎバブルの様相。エンジニアの平均給与は年収10万ドルを突破、加えてストック・オプションその他のインセンティブ付き。分野によっては経験数年の新卒に毛が生えた程度のエンジニアでも何十万ドルもの収入得るケースも多々あり。当方オフィスでも新規エンジニアの雇用がままならないどころか、今いる人間を引きとめておくために四苦八苦。一方泡沫ドット・コム・カンパニーの行き詰まりも多く人間の流動激しい。

 不動産が高騰。2ベッド・ルームと言われる平均的なアパート(日本でいえば2LDK)でいいところはのきなみ月額2,500ドルレベル、ここ5年で倍増。平均的住宅(建坪50坪位)は場所にもよるが築10年以上の中古でも60万ドルから100万ドル。値段以前に供給が需要に追いつかず物件そのものがなかなかない。結果として高収入なハイテク・プロフェッショナルのみ脚光を浴びかつ生き残っていくため、比較的収入の低い学校教師など公務員人気は最低で、若年人口増加しているにもかかわらず教師不足で教育の質低下が心配されている。

 ホテルとゴルフ場が続々建設中だがこれまた需要が供給に追いつかず常に満員御礼の状態。ビジネス客向けのホテルは一泊200ドル、ゴルフは週末100ドルとこれも5年前に比べれば倍増の水準。

 こんな状態いつまでも続くはずがないと皆口々に言い合ってはいるものの、次々に新しい形態のビジネスが生まれ野心ある人々が流入敗者は静かに去るだけ。この1年も新陳代謝は激しいが総体としてのシリコンバレー経済は依然としてさめる気配なし。

 ちょっと前まではこの世界のスピードの速さを人間の寿命スピードの8倍で生きていく犬にたとえて“ドッグ・イヤー”と言われていましたが、最近はさらにスピードアップし20倍の“マウス・イヤー”と言われています。実際にこの街に暮らしているとビジネスの上ではあながち誇張とも言えないところがあり、全力疾走の気持ちよさも感じる反面、行く末そら恐ろしいところもあります。

 ソフト分野の需要もありまたビジネスチャンスを求めてインド系や中国系の人の流入が多く、おかげでエスニック料理特に本場のおいしい中華料理やインド料理のレストランが増えています。

平成12年OB会報NO31より抜粋