近況報告
26期(昭和62年卒) 伊田 浩之

 『週刊金曜日』の編集者として忙しく暮らしています。11月22日には、映画監督・宮崎駿さんのアトリエを訪れました。宮崎さんと筑紫哲也『週刊金曜日』編集委員の対談に立ち会うためです。 宮崎さんのアトリエは、東京の郊外にあり、周囲には大きな木が多くあります。アトリエの窓からは、小春日に輝く紅葉の赤や黄色、常緑樹の緑などが色鮮やかに見えました。「あっ、鳥だ」と思うと、それはガラス窓に張ってある鳥のシルエットだったり、いろいろと宮崎さんらしい工夫が凝らされています。吹き抜けを渡る空中廊下があるのは、宮崎さんが館主を務める「三鷹の森ジブリ美術館」と同じです。「家のなかに橋があると楽しいでしょ。音響的にもいいんですよ」と微笑みました。

 日がかげらないうちに、アトリエの前で宮崎さんと筑紫さんのツーショットを撮影。干し柿が吊してあるアトリエの横手に回って、もうワンカット。それから、暖炉の火が暖かいアトリエの中に戻り、いよいよ対談の開始です。

 話は、もちろん、宮崎さんの最新作『千と千尋の神隠し』から始まりました。『千と千尋の神隠し』の興行収入は、米映画『タイタニック』(1997年12月公開、興行収入約260億円)を抜いて、日本記録を更新中です。また観客動員数は、公開から約2カ月の9月26日に、やはりそれまで最高だった『タイタニック』の約1680万人を抜くスピード記録を達成しています。

 「愚問を承知で聞きますが、なぜこんなに多くの人が見たと思いますか」と、対談を切り出す筑紫さん。宮崎さんはどう答えたと思いますか。

 映画の話から始まった対談は、一神教と多神教、「ブッシュの戦争」、経済、文明論まで、ほんとうに多岐に渡り、予定を1時間オーバーするほど話がはずみました。読むと元気が出る2人の対談は、新年最初の1月11日発売号で掲載します。現在、編集作業の追い込み中。

 こうして12月も休みが少ないまま過ぎてゆくのです。嗚呼!

平成13年OB会報NO32より抜粋