TUWV26期OB山行報告 (9/27〜9/29 甲斐駒)
26期(昭和62年卒) 佐藤 雅浩
 

 我々第26期も大学を卒業していつのまにか15年を過ぎてしまった。年に1度のOB山行は皆忙しい予定をやりくりして参加するためけっこう出席率が良い。

今回は、「南アルプススーパー林道で広河原から村営バスで北沢峠に入り、仙水小屋で酒を食らって一泊、翌日甲斐駒に登り麓の桃の木温泉で(仕事等で山に登れなかった人と合流し)また宴会」という年相応のイージーな山行計画に落ち着いた。

 まだ時折山へ行っていたり日頃体を鍛えている人はともかく、私のような人間には「下界を離れ旧交を暖める」というOB山行本来の目的に合致していると思える日程である。また、今回初めてジュニア(平田の2人の息子)が参加し、そういう意味でも「記念すべきOB山行」となった。

 さて、OB山行の日程が決まったところで個人的な問題が出てきた。「休暇が取れそうにない」のである。私の勤める会社は決して休みの多い会社ではないが、「勤続15年記念1ケ月休暇」という制度があり、元々その休暇中に参加を考えていた。それが直前になって仕事の都合で休みをずらすこととなってしまったのである。

 期末時期に加え突発的事象で自分の課がとてつもなく忙しい時に(しかも翌月から1ケ月休みを取る予定の)「課長が休みを取って大学時代のサークルのOB会」という訳にもいかず、休みを取らずに強硬突破することとした。つまり、本来バスを使える広河原→北沢峠間を日の出前に約4時間歩き、その後小屋まで登山道を登って日の出の時間に仙水小屋で合流するというものである。

 直前の天気予報ではあまり天候に恵まれそうもないことは分かっており、日程の変更も話題になったが、皆仕事と家庭を持ちリスケジュールも困難ということで結局当初予定通りで行くこととなった。

 27日は6時過ぎに無理矢理仕事を終了、部下共に「俺は帰る!週末土砂降りだったら月曜出社しないかも...」という顰蹙を買うセリフを残し退社。家に帰り早速天気予報を見ると案の定雨模様が続く予報である。そうなると1人別行動を選択したリスクが急に全面に出てくる。一睡もせずに山小屋にたどり着いても「悪天候のため登らない」ではただのバカである。貧すれば鈍す!溺れる者が藁にすがる思いで参加者の携帯電話に片端から掛けてみるが、やはり圏外である。元々「自己責任で朝6時までには山小屋へ行く」と言ったのは私である。こうなったらいまさらあがいても仕方ないと覚悟を決め、夕食を食べてすぐに出発した。

 9時少し前に西荻窪の社宅を出発。広河原まで車で2時間強としても、行動前に若干仮眠を取れる余裕のある出発時間の筈である。私の車にカーナビは付いておらず、山梨県の道路地図も持っていなかったが、かつて5年以上仕事で山梨を担当していたこともあり「車で道に迷う」とはこの時点で露ほども思っていない能天気な自分であった。

 自信が過信であったと遅れ馳せながら気づいたのはそれから約1時間半後、こともあろうに甲州街道からの曲がり角を間違え小一時間無駄にすることとなった。それでもなんとか南アルプス林道の入り口を探し出し、土砂降りの真っ暗な道を時に路肩にヒヤヒヤしながら進み、「日付変更線」を越えた0時半ようやく広河原にたどり着いた。

 甲府のコンビニで買ったつまみで寝酒のビールを車中で1本。少しでも仮眠しようと思ったがなかなか寝つけない。結局、一睡もせぬまま1時過ぎに「酒気帯び」で出発することとした。

 紅葉のシーズンであり、広河原の駐車場には結構車が停まっていたが、翌朝にはバスが出る雨の林道を深夜1時に歩き出す酔狂な奴はさすがに自分だけの様である。大樺沢出合付近の車止めを恨めしげに見ながら雨の林道を歩きはじめる。

 時折雨が強くなったり時にほぼ止んだりといった塩梅で、土砂降りという程ではない。月が出ている筈もなく真っ暗ではあるものの、そこは「南アルプス林道」立派な舗装道で懐電行動でも迷う心配はない。結構寒く体調を崩さぬよう気を使ったが、ある意味「気楽な」スタートである。正確には、そうとでも無理矢理思わねばこの林道4時間はやってられない。「要は気合」と自分に言い聞かせ、遥か昔高校の時の懐電行動等を懐かしげに思い出しながらひたすら林道を登っていった。

 コンタ差500m強の景色も見えない単調なダラダラとした登りが続く。路肩が崩れ工事中の所が多く、道端には結構パワーショベル等の重機が停まっていたりする。考えてみれば約25年前高校1年の夏合宿で南ア南部を縦走した際、林道開発の痛々しさを遠望し、「あの林道だけは決して使うまい」と心に誓ったことを思い出した。人間とはまことにいい加減な生き物である。

 そうこうするうちに北沢峠に到着。仙水小屋方面への登山道入り口は暗闇では分かりずらく沢沿いの登山道を外さぬようやや気を使いながら慎重に登っていったが、それでも登山道に入って小一時間、日の出前の5時過ぎには仙水小屋に着くことが出来た。

 当日の行動を考えれば当然朝は早い筈だが、予想に反し小屋の電気は消え静まり返っている。しかたないので軒下で30分程雨宿りしていると、小屋の人が出て来てようやく同期の面々が泊まっている棟を知ることができた。

 公約である6時の少し前に皆の泊まっている部屋へ行くと、皆寝ている。次の瞬間「やあ雅浩ご苦労さん!この雨で登る訳ないだろ!?朝一番のバスで帰るぞ!それとも1人で登るか?」の平田の声と同期の面々の大爆笑。ある程度覚悟していた事態ではあるが、最悪である。さすがに現役時代主将を務めた平田だけあって何とも気配りのきいた暖かい言葉と感心しつつ、瞬時にやる気を無くし、5分後には朝からやけ酒のウイスキーを飲んでいる自分をそこに見出すことができた次第である。

 その後といえば、30分程濡れた体を乾かしつつ酒で体を温めた後すぐ下山、桃の木温泉で宴会をして帰って来た。要は「OB山行報告」と言えた代物ではない。

 小屋からの下りは登りとはうって変わって日が昇って明るくなり、かつ下りなのであっという間に北沢峠まで到着、朝一番の村営バスに乗る。伊田・森をはじめとする同期の面々からの「行きは暗くて景色全く見えなかっただろう。折角だから景色を良く焼き付けておけよ」など心に染み入る有り難い揶揄に感謝しつつ、バスの中でいつしか寝ていた私であった...。

 村営バスを降りた後は、各自の車に分乗→取り敢えず近くの温泉(外湯)に入り→甲府まで一旦出て甲府名物の「ほうとう」を食べ→酒屋でしこたま酒を買い込み→桃の木温泉まで戻るという刹那的快楽追求型の行動を取ることに全会一致で決定。桃の木温泉では昼から麻雀、夜は何とカラオケ付きの宴会である...。

 悪天候により山には登らなかったものの、年1度山で集まり親交を深めるというOB山行の趣旨からすれば、ゆったりとした時間の中で充分に近況等を交換し本来の目的を果たした今回であった。

 なお、有志による甲斐駒リベンジ山行がその後企画されたがまたも悪天候で中止となり冬を迎えることとなった。個人的には甲斐駒ケ岳は未登頂であり近いうちに是非登りたいと思っている。

平成14年OB会報NO33より抜粋