カラパタール登頂
3期 (昭和39年卒) 後藤 龍男
 去年のアンナプルナに続き、今秋もヒマラヤに出かけました。メンバーは3期の松木、佐藤、後藤、4期の及川、5期の渋川、朝倉の、全員還暦過ぎの超高年組です。目的地はクーンブ山群、エベレスト直下に位置するカラパタールです。ピークは標高5541m、エベレスト展望台として有名な場所です。飛行場のあるルクラから徒歩で往復2週間かかる上標高も高いので、ピーク登山を除くトレッキングとしては最もきつい、いわば究極のトレッキングルートです。TUWV以来過去40年の集大成です。

 覚悟はしていましたが、最高齢64歳の還暦パーティーにはいささか手応えのある行程でした。こたえたのは何といっても空気の薄さです。昨年のアンナプルナは最高地点4200mでしたが、今回はそれより1000m以上高い5500m。カラパタール手前の幕営地ロブチェは標高4900mあり、ここで過ごした二晩は息苦しさでよく眠れませんでした。気温も低く、テントの中で水筒の水がかちかちに凍るほどでした。

 しかしながらクーンブ山群の景観は期待に違わず実に素晴らしいものでした。4000mを過ぎ森林限界を超えると、周囲はすべて氷河地形です。次々に現れる巨大なモレーンの向こうにエベレスト、ローツェ、マカルー、チョーオユウなどの8000m峰が次々に顔を出します。6〜7000m級のピークは数知れません。カラパタールはクーンブ氷河を隔ててエベレストと対峙する位置にあり、ここから眺めるエベレストとヌプツェは最高です。写真集や絵はがきでよく見かける景色です。エベレスト登頂のアタックキャンプで有名なサウスコルはここまで登らないと見えません。標高5100mの登り口ゴラクシェプから5541mのカラパタールまで標高差450mですが、喘ぎ喘ぎ2時間かかりました。日本国内ならさしずめ小学生のハイキングコースでしょう。

 カラパタールから撮った写真を2枚お目にかけます。一度ヒマラヤを見てしまうと、日本の山は言うに及ばず、マッターホルンもアイガーもまるでオモチャに見えます。

 我々が出発する直前、東大ワンゲルOB会の還暦組パーティーがルクラの東にある6476mのメラ・ピーク登頂を目指すというニュースが新聞に載りました。トレッキングと違い、氷雪技術を必要とする本格的登山です。よほどトレーニングを積んで出かけたのでしょうが、5500mでふうふう言っている我々にはとても真似できない芸当です。

 我々より若いOB諸兄。東大などに負けてはいられません。そろそろOB会でヒマラヤピーク登頂パーティーを出したらいかがでしょうか。例えば今回立ち寄ったイムジャ・コーラという谷の奥にアイランド・ピークという6189mの山があります。シェルパのサーダーの話ではアプローチも楽だし技術的にも難しいところはなく、初心者でも容易に登れる山だそうです。近いうちにぜひ挑戦してみて下さい。

平成16年OB会報NO35より抜粋