チョモランマBC
3期 (昭和39年卒) 後藤 龍男
 10月に3期の松木、佐藤、後藤、4期の及川、5期の藤田の5人でチョモランマBCまで行ってきました。昨年秋にネパール側のカラパタールでエベレストを見たので、今年は反対側のチベット側から見てみようというのが旅の最大の目的でした。もう一つの動機は昔読んで憧れた河口慧海の「チベット旅行記」にあります。あれに書かれたチベットの風物や風景をこの目で見ようと言うわけです。ワンゲルの諸氏なら大方読まれたことがあるでしょう。

 カラパタールまでは往復2週間歩かなければなりませんが、チョモランマBCは一歩も歩かずにラサから車で行けます。その代わりおんぼろランクルで往復2000キロ、ひどい悪路を耐えねばなりません。ラサから先は4000〜5000mの高地ですから、空気も薄く決して快適な旅ではありません。悪路を車で10日間揺すぶられたら持病の腎臓結石が一度に剥がれ落ち、シガールのホテルで血尿が出始め、帰国後激痛とともに大きな石が三つも出ました。腎臓結石をお持ちの方にお奨めのコースです。

 チョモランマBCはチョモランマ直下の標高5200mの位置にあります。その少し手前に有名なチベット仏教のロンブク僧院と粗末なロッジが建っています。他に宿泊施設はありませんので、我々を含め外国人旅行者はすべてこのロッジに泊まりました。チベットは外国人旅行者が少なくありませんが、ラサより奥地はヒマラヤと同じく西洋人ばかりで日本人はあまり見かけませんでした。ロッジには若いご婦人も何人か泊まっていました。

 ロッジから車で20分ばかり登るとチョモランマBCです。眼前に世界最高峰のチョモランマ北壁と流れ下る氷河下部が迫り、素晴らしい光景です。ネパール側のエベレストは手前のヌプツェやローツェが邪魔をして頂上部分しか見えませんが、チョモランマは上から下まですべて見ることが出来ます。欠点はチョモランマしか見えないことです。ネパール側は次から次へとヒマラヤの高峰が現れ見飽きませんが、チョモランマBCはチョモランマしか見えません。幾ら素晴らしい光景でも2時間も見ていたら飽きてきました。

 ロッジのトイレの汚さには閉口しました。ドアもない開けっぴろげの床に落とし穴が並んでいるいわゆる“ニイハオトイレ”ですが、床一面に糞尿がぬたくり付けてあって足の踏み場もありません。悪臭もひどく、全員一晩トイレを我慢しました。外でのキジ撃ちには慣れていますが、このあたりは野犬が多く、群れをなして徘徊しているので、夜分外に出て用を足す勇気は起きませんでした。これほどではないにしてもチベットを含め一般に中国のトイレ事情は世界最悪です。隣り合って顔を見合わせながら平然と大きいのをいたす神経をお持ち合わせでない方には奨められません。トイレは中国旅行最大の苦痛です。

 写真を2枚お目に掛けます。
    1枚目はチョモランマBCからのチョモランマ
    2枚目は標高5000mのパン・ラ峠からのチョモランマとヒマラヤ山脈です。

    (詳細は) http://www5f.biglobe.ne.jp/~denzasou/index.html

平成17年OB会報NO36より抜粋