8期9期 卒業30周年OB山行 第7弾
小雨に煙る尾瀬ヶ原で
8期(昭和44年卒) 相原 敬
 【参加者】
 
健一、千代子、桃谷、片野、片野奥、片野お嬢、原田、原田奥、高瀬、ムツ子(9期10人)
 
前田、教子、濱、美恵子、ちさと、拓哉、おぎゃ、小笠原、水上、三原、相原、敬子 (8期12人)

 上田代湿原の池塘にはヒツジグサの可愛い葉っぱが密集して、可憐な花を咲かせている。オゼコウホネの丸くて黄色い花も一輪だけ池塘の中央に咲いていた。それを眺める顔顔顔。みんなで尾瀬に来たのは、現役4年の夏合宿以来である。

 OB山行も7回目ともなると、みな要領を心得ていて、細かな案内なしでも戸惑いはない。今までのOB山行は東北線がらみだったが、山域に行き詰まったのか、今回初めて上越沿線に踏み出した。

 9月11日、片品村に全員揃ったのは正午近くになっていた。乗合タクシーに分乗して、鳩待峠までワイワイがやがや、あっという間に到着する。ニッコウキスゲと草紅葉シーズンの狭間の時期なので、峠の広場も閑散としていた。至仏登山口で思い思いの腹ごしらえをし、濱を乗せた汽車ポッポ隊は山ノ鼻を目指す。今日は尾瀬小屋まで登りなしの楽勝コースだ。川上川に沿ってブナの原生林を下り、橋を渡れば山ノ鼻の一角に到着する。

 今回の初参加は、栃木県から三原君。家族連れが多くて勝手が違ったかもしれない。いよいよ尾瀬ヶ原の核心部に足を踏み入れる。ガスがかかったり切れたりする中で、疎らな拠水林の彼方に尾瀬ヶ原を見守る至仏山と燧ヶ岳が見えるのは嬉しい。草紅葉が始まりかけており、湿原は今つかの間の休息をとっているかのようだった。

 広い湿原を、賑やかな集団が長くなったり短くなったりしながら進んでいった。そうこうしている内に雷様が至仏からゴロゴロとやってきて、ポツポツと来たかと思ったら本降り。いきなりの雨に傘を広げて竜宮小屋に逃げ込んだ。びしょ濡れになってから雨具を付けるが、皮肉なことに小屋から出ると雷雨も通り過ぎて小降りになった。


 燧ヶ岳を包んだ雲に、うっすらと虹が架かり、みんなで嬉しがることしきりだった。霧雨の中で真っ赤に燃えて光っているナナカマドやウルシの紅葉、そして湿原を這う霧が、ゆるゆる歩くOB隊を包む。燧ヶ岳の裾野に張り付く下田代十字路の尾瀬小屋に入る。

 風呂上りに、立寄り者用の休憩所でビールパーティー、そして夕食後は談話室に集まって、飲みなおす。とにかく集まれば酒とおしゃべり、昔のままだった。


尾瀬小屋を出発する前に記念撮影

 翌日は、尾瀬小屋の楽しい思い出をザックに詰めて、小屋前で記念撮影して7時に出発する。今日はヨッピ橋経由で山ノ鼻へ。湿原の至るところに朝霧がたちこめ、尾瀬独特の雰囲気を醸し出している。絶妙なガスの流れ、小雨に煙る周辺の山が幻想的であればあるほど22名の集団が際立ってゆく。やはり尾瀬にはのんびり歩きが似合う。夏の残花を楽しみながら到着したヨッピ橋のたもとで、スイカとコーヒータイム。拓哉が一日中担いでいただけあって最高の味だった。

 再び尾瀬ヶ原のど真ん中に着く頃には、池塘に広がる雨滴の輪が目立ち始め、山ノ鼻では雨が本気になってしまった。

東電小屋 三叉で体制を立て直す


 山ノ鼻で少々のビールとミニラーメンで尾瀬ヶ原のフィナーレとする。鳩待峠まで今回唯一の登りも意外に順調だった。呼び寄せたタクシーにあわただしく乗り込んで鳩待を後にした。

 幡谷温泉の温い露天風呂で鳥肌を立てながら長湯をしたのち、下山祝いに臨む。年に一度のOB山行だが、今後はメンバーの拡大や実施時期、山域、形態などOB山行の目的をも含めて調整しよう、等と真面目に話し合ったりしながら、再会を約束して温泉で解散となった。

平成17年OB会報NO36より抜粋