ベトナム事情
19期(昭和55年卒) 小山 茂典
 最近仕事の関係でベトナムによく行きます。大変魅力的、かつ今まさに経済発展中の活気のある国です。あくまで出張者の眼でのスケッチですが、最近のベトナム事情を下記に。(なおベトナムも南北に長い国で、地域特色もそれぞれです。当方のベトナム経験は、当方の会社の工場の一つがあるホーチミン市(旧サイゴン市)周辺の話です)

経済;
 GDP成長率は毎年8%レベルと、ASEAN諸国の中でもトップクラス。でも、一人当たりGDPはまだ$650程度。工場のワーカーの給与も、残業をこなして月$70くらい。消費市場としてはまだまだだが、政治・治安も安定しており、生産市場として外国投資が非常に活発。ベトナム戦争の影響で、隣のタイに比べれば周回遅れのスタートだが、猛烈に追い上げているランナーとも言える。

人;
 向上心が高く、勤勉で優秀な人多し。笑顔が素敵な、感じの良い人も多い。特に南は開放的で明るい感じ。何せ、アメリカ相手の戦争で唯一勝者となった国であり、パワーとプライドも感じます。仕事は英語でほぼ不自由なくでき、頭のいい人が多いので、サクサク進み気持ちがいい。

食;
 おいしいよ。ベトナム料理もさることながら、中華やフレンチまで含めてレベル高し。コストパフォーマンスから言えば、アジア・ナンバー・ワンの食の国と私的には言いたい。ほとんど日本人が住んでいないのに、日本料理もなぜかおいしい。民度が高いと言うか、食センスが豊かと言う気がする。お手軽なもので言えば、フォーやブンという麺。米粉の細い麺に、牛や鶏のあっさりスープと香り高い生野菜、ヌックチャム(ニョクマムと唐辛子等の調味料)で好きにふりかけ、ハフハフ。朝食が一般的だが、軽食や夜食に最高。バイミーというサンドイッチも、お手軽ベトナム的。フランスパン(あまり硬くなく中は柔らかい)にハムやチーズとニョクマム風味の野菜ハーブをはさんだもの。何となくなつかしい味。いわゆる高級ベトナムレストランもまず外れなし。有名な生春巻きもバリエーション多く、鮮烈。一般的に、新鮮な素材にあっさりとした味付け。中華広東とフレンチのエッセンスが加わり、ベースをニョクマムとハーブの香りが控えめに支えるという、とにかく想像力を刺激する料理が多くて楽しい。衛生を気にする向きもあるが、ワンゲル的胃袋であれば問題ないでしょう。

アオザイ;
 最も女性を美しく見せると定評の民族衣装アオザイ。ホーチミンの風物詩の一つは、白いアオザイの女子高生の群れが颯爽と自転車を走らせる通学シーン。スコールがザッと降ると、うっすら透けるカラフルな下着・・ということになっていたのだが、最近はアオザイ通学は週1回か2回。普段はジーンズという風潮だそうです。アオザイは、実は着る人を選ぶもので、最近のアメリカナイズされた食生活はベトナム女性にも影響があり、アオザイを着こなすスタイル維持が困難な人も増えているとか。さすがに普段着ではなく、ハレの日に着る晴れ着、もしくはサービス業の人の制服という感じ。なお、おみやげにアオザイを買う人もいますが、日本人で似合う人は見たことがありません。
平成18年OB会報NO37より抜粋