ヒマラヤ、ランタン谷紀行
3期 (昭和39年卒) 後藤 龍男
 10月に秋のランタン谷を歩いてきました。ヒマラヤはこれで5年目ですが、歳を考えるとこれが最後かと言う思いです。メンバーは3期、松木、佐藤、後藤、4期、及川、5期、藤田の5人です。

 ランタン谷はカトマンズから最も近いヒマラヤです。最高峰ランタン・リルンが 7,246 m で、8,000 m峰は一つもありません。イギリス人が「世界一美しい谷」と形容したことで有名です。カトマンズから山道を車に揺られて約8時間、谷奥の村、シャブルベンシから歩いて往復するのが通常のルートですが、今は現地旅行社が手配したヘリで一気に標高 3,000 m のゴラタペラまで上がってしまいます。そこから標高 3,500 m のランタン村、3,800 m のキャンジン・ゴンパ、さらに奥のジャタンまで足を進めます。世界一と言われるだけあって、実に美しい谷です。谷の両岸に連なる山々もヒマラヤにしてはそれほど高くはないので、ヨーロッパアルプスを少し高くしたような優しい山岳風景です。しかし何と言ってもヒマラヤ、山の高さや峻険さは比べものになりません。

 この谷の山はランタン・リルンを除いてすべて 5,000〜6,000 m 級ですから、日本の冬山の経験がある人がきちんと高所順応をすれば誰でも容易に登れます。キャンジン・ゴンパのロッジで一緒だった3人の若いドイツ人のパーティは、翌日ロッジの前に聳えているナヤカンガ(5,846 m)に登頂していました。うち一人は妙齢のお嬢さんでした。5,000 mあたりにアタックテントを張ってそこから1日で往復するのだそうです。もちろんシェルパのサポート無しには登れませんが、少人数で手軽にヒマラヤのピーク登頂を楽しめるのが魅力です。我々にはもう無理ですが、一度OB会の若手メンバーでトライされたら如何でしょう。是非お奨めします。

ランタン谷の奥、ジャタン付近にて
ナヤカンガ峰(5,846 m)


 去年、一昨年のチベットやカラパタールでは5,000m を越える場所に何日も滞在しましたが、高山病症状は出ませんでした。今回はほとんど4,000 m 以下のところしか歩かないので、高山病特効薬のダイアモックスは服用しませんでした。しかし、一気に 3,000 m 以上まで上がったためか、例年になく高山症状がきつくて往生しました。キャンジン・ゴンパから標高 4,700 m のタルチョピークを往復した日の夜は、呼吸が苦しく朝まで寝付けませんでした。他のメンバーも多かれ少なかれ下痢や食欲不振などに悩まされていました。

平成18年OB会報NO37より抜粋