インドの農家に泊めてもらって
4期 (昭和40年卒) 小原 佑一
 3年間、好き勝手に過ごした南インドの最後に農村を訪れてきました。インド第5の都市、チェンナイから車で2時間ちょっと、ヤシの木やこんもりとした常緑樹の木陰の部落に着きました。車を空き地に止めて下りると鮮やかなブルーのカワセミが迎えてくれました。

 ヤシの葉で葺いた屋根の小屋の集落です。面倒を見てくれる人は集落の中心に近い、シバ神を祀った広場に面した小屋に住んでいました。縦穴のない竪穴式住居という表現がぴったりの、炭焼き小屋みたいな小屋です。扉のない、かがまないと屋根に頭をぶっつけてしまう入口から中に入ると、3m四方の土の壁の部屋とそれをL路型に囲む貯蔵庫、台所、玄関ロビー(?)、それでも天井がないので立っても十分な高さがありました。屋内の台所は小さなかまどが一つあるだけ、主に外のかまどで調理していました。

 着いてすぐ、喉が渇いただろうと、ヤシの実を出してくれました。夕食は集落初めての外人と言うことでバナナの葉っぱに盛った鶏肉のカレーのごちそうでした。夕食後は広場に座って涼んで過ごす、のんびりと時間が過ぎていきました。一部屋しかないので外に寝ることにしました。マラリヤ、デング熱、チックングニヤ等蚊によって媒介される病気を気にして小さなテントを張って寝たのですが、テントは暑くて開けっ放しで寝てしまいました。テントの周りには物珍しいのか部落の人たちがごろごろ見物がてら寄ってきて寝ていました。

 朝食は夕方搾った牛乳を一晩発酵させて作ったヨーグルトの飲み物、そし新鮮な牛肉(農村では休日の朝に屠殺し解体した新鮮な牛肉が売られている)のカレー、客向けのごちそうでした。

 雨の少ない地域なので炊事に使う水は時間給水の共同水道、弥生式の土器のような水瓶にためて貯蔵します。シャワーや水浴は畑や田んぼの灌漑用の井戸からポンプでくみ上げます。トイレは、女性は集落の東側、男は西側の畑の方の屋外だそうです。

 久しぶりのアウトドア生活でした。

訪れた部落
部落の家
平成18年OB会報NO37より抜粋