スイスアルプスの旅
7期(昭和43年卒) 真尾 征雄
 本場アルプスに行くことは長年の夢であった。今年の春、旅行会社のチラシに「スイスアルプス三大名峰8日間の旅」の文字が目に留まった。仙台空港発着で、モンブラン,マッターホルン,ユングフラウが観光できる。連泊が二回あるのも魅力的だし、現地ガイド付きのハイキングも二回入っていた。家内は体力的に無理なので、相棒をワンゲルの仲間に募ったところ、同期の手戸さんが「是非行きたい」とのこと。写真のプロで几帳面な手戸さんが相棒として同行してくれるのは、心強いばかりである。天候が比較的安定しており、高山植物が咲き出す6月13日出発の便を予約した。

 名古屋セントレア空港で乗り換えて、ドイツのフランクフルトへ。そこからは小型機でジュネーブへ。約14時間の長旅であった。紙面の都合でハイライトのみを紹介する。

 スイス初日は大型バスでフランスのシャモニーへ入る。ここからロープウェイを乗り継いで一気に3,842mのエギュードゥ・ミディ展望台へ。真っ白いモンブランの雄姿やグランドジョラス針峰群が眼前にひろがり、感激のひととき。快晴で陽射しが強く、フィルターを付けないとモンブランは写らないほどだ。この日はツェルマットに泊まる。

 ツェルマットは静かで、うつくしい街だ。排気ガスを出す自動車は全て一つ手前の駅までしか入れない。街の中の交通手段は、電気自動車か馬車か自転車か徒歩である。家の窓際には、あざやかな色の花が飾られている。けばけばしい看板や洗濯物は、どこにも見当たらなかった。

 早朝5時ホテルを出て、マッターホルンが朝日に輝く瞬間を写しに、ビューポイントの街はずれの橋の上へ行く。多くの日本人が集まっていた。5時35分日の出とともに山頂が輝き、見る間にそれがひろがり、30分ほどで山の上部が赤銅色に染まる。感動の一瞬を息を殺してシャッターを押し続けた。

 ゴルナーグラート展望台へはアブト式登山電車で、車窓の景色を楽しみながら行く。展望台からは360度パノラマの絶景で、若かりし頃に写真で見たアルプスの山々が眼前に聳え立っている。

 帰りは途中で電車を降り、色鮮やかな高山植物が咲き乱れる中をハイキングする。途中、幸運にもリッフェル湖に映る「逆さマッターホルン」を見ることができた。午後は自由なので、気の合った仲間4人でスネガ展望台へ上り、そこからハイキング。テラスでマッターホルンを眺めながらビールをのんびり楽しむ。さわやかな風が吹いてきて心地よい。時が止まったような贅沢なひととき。帰りは手戸さんの写真教室。お花畑で時を忘れて、シャッターを押していた。いままでたくさんの山行をしてきたが、こんなに楽しい山行は初めてであった。元気なうちにもう一度訪ねたい。

リッフェル湖に映る「逆さマッターホルン」
お花畑からマッターホルン遠望
平成18年OB会報NO37より抜粋