オランダ、ベルギー旅行 (2007年11月)
3期 (昭和39年卒) 後藤 龍男
 毎年秋にヒマラヤトレッキングを楽しんでいましたが、帰国後必ず悪性の風邪に罹り、寝込むことが続いたので、今年は不参加にし、代わりに家人とオランダ・ベルギーを旅行してきました。バスで各地を見て回る典型的なツアー旅行です。

 チューリップの季節のアムステルダムは日本人だらけで、まるで“ハウステンボス状態”だそうですが、日本の冬と同じ気温の晩秋はどんよりと冷たく、日本の旅行者は見かけませんでした。

 安ツアーなので、アムステルダムのホテルはスキポール空港の反対側、市中心部から40キロも離れた場所でした。ダム広場などダウンタウンを散策した後、タクシーでは高くつくので、東京駅とそっくりな中央駅(これを真似て東京駅が作られた)から電車で空港まで帰ることにしました。駅で切符を買おうとすると、空港駅が工事中で、ひとつ手前の駅までしか行かない、そこから臨時のシャトルバスが出ていると言われました。駅に着いてみると大きなバッグを抱えた航空旅客でごった返しています。たまにしか来ないバスに乗客が苛立って、騒然とした雰囲気です。バスが着くと、我勝ちにドアに殺到し押し合いへし合い、列も順序もへったくれもありません。大人しくしているといつまでたっても乗れないので、けんか腰で家人をドアに押し込んでやっと空港にたどり着きました。

 いざとなるとヨーロッパ人も悪名高い中国人と変わりないと言うことがよく分かりました。 それにしても、ヨーロッパ有数のハブ空港で、工事のためとは言えアクセスを丸二日もストップするなんて、日本ではまず考えられません。ヨーロッパは余裕があるのか呑気なのか。

 その後、デルフト、風車のキンデルダイク、アントワープを廻り、ベルギーに入ってアルデンヌ地方のシャトーに泊まり、ブルージュからブリュッセルに至りました。見て回るものは、どこの街にも必ずあるマルクト広場と市庁舎と大聖堂のオンパレードです。そのうちどれがどれやら区別がつかなくなりました。至る所で見受けるレンブラントやルーベンスの絵にしても、絵心のある人には堪らないのでしょうが、無粋な当方は暗い陰鬱な宗教画ばかり見せられているうちに、これ一枚あったら一生遊んで暮らせるな、などと下劣な想像しか湧かなくなります。

 それやこれやあっても、落ち葉散る晩秋のヨーロッパはしっとり落ち着いた雰囲気で、美味しいベルギー料理(オランダは実に不味い。距離は近いのになぜあれほど違うのか?)とともに堪能出来ました。旅程のほとんどをバスで廻ったのですが、設備の整った片側3車線の高速道路が四通八達していて、それがすべて無料というのは羨ましい限りでした。日本はなぜそう出来ないのでしょう。

 写真はキンデルダイクの風車とアントワープ大聖堂のルーベンス「キリストの昇架」です。風車は近くに寄ると巨大で、あまり風情はありません。「キリストの昇架」は、「アントワープの犬」でネロとパトラッシが死ぬ直前に見た絵です。イギリス人が書いたこの話は日本では有名ですが、現地の人は誰も知らないそうです。

    キンデルダイクの風車
    キリストの昇架
平成19年OB会報NO38より抜粋