高山病とバイアグラ
3期 (昭和39年卒) 佐藤 敦
 今年もヒマラヤトレッキキングへ。これで6年連続となる。毎年、ワンゲルOB・超高年の6人から4人のパーティとなる、今年は4人。トレッキング・エージェントはいつもアルパインツアー(株)にお願いしている、そのアルパインツアーが出している、小冊子「海外トレッキング対策ノート」に急性高山病に関する記事がある、以下にそのまま抜粋する。

 「高地肺水腫・・・急性高山病が進行した最終段階。安静にしていても呼吸困難がおき、咳がひどくなり、虚脱感や運動能力の低下が著しい。胸部に圧迫感や充満感がある。その対処法・・・ただちに下山させる。それが出来ない場合は十分量の酸素を吸入させ、ガモ・バック(持ち運び可能な加圧装置・プレッシャーバック)に入れる。医師の管理下では、ニフェジピンやバイアグラの投与が行われる」

 3年前、カラパタール(5545m)を目指したが、私は5200mでこの高地肺水腫になり、登頂を断念してペリチェまで下り、日本が創設した高山病研究施設に1日入院し、そこでヘリを呼びカトマンズまで戻ったにがい経験がある。

 ヘリ代、入院・治療費など総額50万円かかったが、事前に入っていた山岳保険で全て賄えた。(このトレッキング・エージェントを使う場合、山岳保険に入るのが必須となっている)ペリチェではイタリア人の美人女医に看病を受けた、その時いろんな薬を呑まされたが、この記事にあるようにニフェジピンやバイアグラだったかもしれない、しかし体力が消耗しており、残念ながらバイアグラの薬効は体験出来なかった。

 その後も懲りずに、3回ヒマラヤに行ったが、高地肺水腫にはならなかった、高度が低いせいかもしれない、今年も5000mを越える所には行かないので、心配はないが、万一の為にと医者にバイアグラを処方してもらい、4人分用意した。せっかくの用意だったがだれも重度な高山病にかからず、捨てるには勿体無いのでそのまま持ち帰った。

 発売された時には話題になったバイアグラだが、市販されておらず医者の処方箋が必要だった・・今もそうかもしれないが、ヒマラヤの5000mを越える所に行くといえば、処方箋を出してくれる事が分かった、しかし本当にヒマラヤの高地に行くと医者が信じてくれるかどうかは本人次第である。
平成19年OB会報NO38より抜粋