アンナプルナ内院 紀行
5期 (昭和41年卒) 八木 眞介
 10月30日から行きたい場所の一つであったアンナプルナ内院へのトレッキングに行ってきました。3度目のヒマラヤ行きです。

 ヒマラヤは例年なら時期的に快晴続きという天候になるはずでしたが、今年は天候不順で、内院へ着くまではずっと曇り、内院の入口であるマチャプチャレベースキャンプでは雨、アンナプルナベースキャンプに滞在した1日はなんとか晴れたものの雲が比較的多く、帰路も前半は雨、最後にやっと晴れたという状態でした。このコースは、マチャプチャレベースキャンプまでは展望のない狭い谷の中を、かなりの急な上り下りを繰り返すというあまりありがたくないトレッキングを強いられるコースなので、谷の先に見えるはずの白い峰も見えないという谷歩きは、ちょっとつらかったというのが、正直な実感です。

 内院への道は、下の方は急斜面の田畑の中を歩く道です。その途中で見られる棚田や段々畑は驚きの一言に尽きる規模の大きさで、最も規模の大きいところでは、深い谷底から山の上までおそらく800m以上の高度差があります。人間の営みのすごさを感じました。これらの田畑では高度の低い所では米、高い所では稗や蕎麦(赤い花の蕎麦)を栽培しているようです。上の方は、内院トレッキング専用の道になり、深い森の中をひたすら歩き、森林限界を過ぎるとやっと明るい谷になるという道でした。コースの中ほどまでは、道のまわりの木々に野生の蘭が着生しており、花には季節はずれだったため、数株しか見つかりませんでしたが、野生蘭の咲いている姿を見られたのは、蘭の好きな私には、ありがたい経験でした。

 内院は、期待どおりすばらしい所でした。アンナプルナベースキャンプ滞在の日は、晴れていましたが、ガスが多く、周辺の山のどこかはガスに隠れているという状態で、全体が同時に見えるということがなく、360度白い峰々に囲まれた円形劇場の中にいるという気分を味わうのには、ちょっと不満の残る天候でしたが、その中に身を置いている気分は最高で、すばらしさを十分満喫できました。特に、アンナプルナT峰、アンナプルナサウスの黄金色の朝焼け、マチャプチャレの真っ赤な夕焼けは感動ものでした。

 帰路は、天候が回復して来るにつれて、気持ちの良い遊歩気分を味わえ、やっと歩く事を楽しめたというところです。最終日のオーストリアキャンプからのアンナプルナ山群やマナスル山群の朝の展望は、トレッキングの締めくくりの最後の感動を与えてくれ、気分良くトレッキングを終えました。

アンナプルナT峰
マチャプチャレ
平成19年OB会報NO38より抜粋