近況報告
5期 (昭和41年卒) 吉田 公平
 この11月1日に『中江藤樹心学派全集』1,100頁、18,000円、研文出版を刊行しました。小山国三さんと共編です。

 小山さんは60歳まで企業に勤務していましたが、その頃からが私自身の為に時間を使うのだと覚悟して、東洋大学の課目等履修生になり書道・書学を学んだ後に、小生が主任を務める大学院文学研究科中国哲学専攻にお入りになりました。いろいろとお話しをする中で、会津若松のお生まれであることが分かり、その折りに会津若松は江戸時代には中江藤樹の心学が最も盛んに学ばれた地域であることを説明し、その時に学んだ成果が自筆写本のままにあり、それを活字に起こすことに挑戦された先学がおられましたが、なお不充分であること、その自筆写本が東洋大学に所蔵されていることなどを、るる述べました。しばらく期間をおいて改めて話題にしたところ、小山さんが「やってみましょう」と決断されました。それから5年間、毎週木曜日、二人で歩み続けました。

 解読と入力。難儀しました。そのさまの一端が小山さんは「あとがき」に述べておられます。江戸時代の思想史を解明する基礎作業が成就されました。画期的なことです。関係者に御披露しましたところ、異口同音に小山さんの労苦を賞讃する言葉を返して来ました。小山さんは、「私がこの世に生きたことの証言になる」と感慨無量です。もう一つの人生を生きる一つのモデルかと思います。

 18,000円は高いのですが、その内容は今日の我々にもそのまま「如何に生きるか」という問題を投げかけています。店頭でお見かけする機会がありましたら、「序文とあとがき」だけでもお読み下さい。内容も読んでみたいと思う方がおられましたら、小生にお知らせ下さい。2割引になります。

 私どもの分野では、人手が足りないために、またお金儲けには縁がないために、大事なことがほったらかしにされています。時間にゆとりがあり、日本文化の遺産を世界に発信することに関心のある方は、お知らせ下さい。確実に将来世代に貢献する仕事が山ほどありますので、お手伝い頂ければ幸甚に存じます。皆さん一人一人の業績として、将来世代にプレゼントする仕事になります。そのつもりになればどなたでも実現できます。お待ちしています。
平成19年OB会報NO38より抜粋