富士0X―3776m完全登山
43期(平成16年卒) 山下 絢子
 遡ること約一年。 登山仲間の「海から富士山を目指す」という山行報告を目にしました。富士山なんか登る山じゃない(眺めるもの!)。と前々から思っていましたがこんな企画なら富士山もアリ。と。 OB同志を募り、いざ決行,富士0X(フジゼロックス)!構想一年,実行たったの二日間,3776mアップ,2976mダウンの日本で一番の高低差山行です。

 三連休初日,自分を含め計5人のメンバーが静岡県富士市に集結。金谷&村上(43期),吉村(44期),雨宮( 45期),北は日光,南は大分からとこんなバカ企画によくもまぁ集まってくれました。


 決戦(?)の朝,富士市内のホテルからタクシーで夜明け前の田子の浦へ。スタートはここ,海抜0メートル。打ち寄せる波打ち際で出発写真。いざ出発!田子の浦から登山口まで約25キロ,1000メートルアップ。工場地帯,住宅街,林道とアスファルトの道をひたすら前に進みます。25キロを5時間と見積もっているため,そうのんびりもしていられません。下界歩きだと思って,甘く見ていましたが実際は上り坂が続きます。二五万図を頼りに進むも,住宅街の地図読みは難しい。金谷君のGPSでなんとか難所を乗り切りました。

 しかし,張り切っていたメンバーの生気も,徐々にアスファルトに吸収され・・・なんとか一合目に着くものの,体調不良のため,吉村君がリタイア(バスで下山)。吉村君の分まで頑張るぞ!と気合を入れ直して,須山口登山道に突入。一合目ながらこの登山道には人影も殆どなし。でも,登山道はよく整備されていて快適。一気に高度を稼ぎ,森林限界へ。

 ようやく視界が開けた!と思いきや,私たちを待っていたのは激しい風。この週末は各地で山は大荒れになりましたが,富士山も例外ではありませんでした。宝永山の山姿を横目に,急勾配のザレ場を吹き飛ばされないように踏ん張りながらようやく富士宮登山口六合目に到着。ここから一気に人が増え,観光地化。予定通り日暮れ前に初日の新七合目「御来光山荘」に到着。幸運にも,小屋から2本の虹と影富士を拝むことができました。

 翌日,といっても0時半に小屋を出発。頭上には満点の星空,そして眼下にはまばゆい夜景が!しかし寒い!ヘッドランプを灯して頂上を目指します。空気はどんどん薄くなり,深呼吸しながらゆっくり足を進めます。頂上付近では渋滞にはまるものの,なんとか頂上に到達!!ついに3776mを自分の足で登りつめました。4人にとって自力で登った人生最高峰!大勢の登山者と一緒に,太陽を迎えました。眼下には自分たちが歩んできた道のりがくっきりと照らされます。あの海岸から来たなんて・・・。

 日本最高峰の碑の前で,記念撮影。金谷君は田子の浦で汲んできた海水を石碑に。村上君は海パン姿で記念撮影・・・の予定でしたが,これは自重。しばし,日本最高峰を堪能し,いざ下山。我らのゴールは標高800メートルの浅間神社。富士山をよいしょ,とまたいで今度は南側に下山です。五合目までは,半ば観光地のような雰囲気でしたがそこから下の登山道はさっきまでの喧騒がうそのような静かで爽やかな山道。14時前にゴールである麓の冨士浅間神社に到着。わずか1泊2日とは思えないこの達成感。田子の浦をスタートしたのがはるか昔のように思えてなりませんでした。まだ富士山に登られていない方,一度登ってうんざりした方,時間はとれないけど達成感を味わいたい方,こんな山行はいかがでしょうか。

平成21年OB会報NO40より抜粋