日本山岳耐久レース 50歳の激走
22期(昭和58年卒) 西川 雅明
 2010年10月10日、日本山岳耐久レース「長谷川恒男CUP」(通称ハセツネ)が開催された。私はこの日を数年前から意識していた。ハセツネは24時間で奥多摩を71km走るレース。私もこれまで何度か会報で書いたことがある。

 私がこのレースに参加するのは6回目だ。しかし今年の参加には例年にも増して特別な意味があった。今年私は50歳になった。年代別クラスがランクアップした。うまくやれば年代別で上位に食い込める可能性があったからだ。結果は11時間20分28秒。総合118位/2488人登録、年代別5位/317人登録となった。年代別は6位までが入賞だから私は念願の入賞を果たすことができた。

 実は、今回のハセツネでは50歳代に見事に強豪がそろっていた。大会一週間前に届いた名簿を見たところ全国規模の大会で優勝経験をもつ選手が少なくとも8人はいた。

 ハセツネ2年連続優勝のMさん、北丹沢や陣馬のトレイルレース常勝のKさん、富士登山競走で優勝したMさん、50代で初めて10時間を切ったUSさん、春のハセツネ30で優勝したYさん、など。

 50歳代の順位を予測しているブログには、そうした強豪選手や有名選手の名前が連なっており、無名である私の名などはどこにもなかった。そんな状況だったのでベスト10に入るのがせいぜいかなと一度は弱気になったのだが「どんなビッグネームであっても、この年齢のランナーは皆がベストコンディションで臨めるはずはない。誰か脱落すればチャンスはあるかもしれない」と思い直し、最後まで調整の手を抜かず本番を迎えた。

 本番では、かつて出した自己最高の11時間9分を更新しようと最初から飛ばした。途中、雨や霧に悩まされ、多少スピードは落ち、自己記録の更新はならなかったものの上記のタイムでゴールした。案の定、ベテランランナーの何人かは途中でリタイアし、幸運にも入賞を果たせた。

 私の入賞が知れわたると、以前50歳代の部で優勝したYさんから嬉しいメールをもらった。「入賞おめでとう。あなたの入賞で来年の激戦がますます面白くなった」――私はまだこれからも記録向上を目指さなくてはならないようだ。

 世の中には歳をとっても、ますます精力的に走っている人たちがたくさんいる。私も暫くはそうした人たちを目標にしたいと思っている。

平成22年OB会報NO41より抜粋