ツール・ド・モンブラン
5期 (昭和41年卒) 八木 眞介

 ツール・ド・モンブランは、モンブラン山群を一周するトレッキングルートである。ツアーではルート中のポイントとなる所を歩き、間を車で繋ぐ形で日数を短縮している。7月から8月にかけて、このトレッキングに参加した。

コースは、シャモニーに入り、初日は足慣らを兼ねてモンブランと反対側の赤い針峰群中の山上湖ラックブランを往復し、翌日から本格的にトレッキングを開始した。

1日目、車で南のノートルダム・ド・ラ・ゴルジュに行き、トレッキングを開始、ボンノブのコル(2329m)を越えてボンノブ小屋へ。

2日目、小屋からほぼ真直ぐ東へ下ってシャピューにある山小屋へ。

3日目、ここからは北に向かい、谷奥まで車で行き、フランスとイタリアの国境があるセイニュのコル(2516m)を越えてエリザベッタ小屋へ。

4日目、小屋からコンバル湿原(2000m)へ下り、ここから山群と谷を挟んで反対側の尾根に登り、中腹をほぼ水平に北端のシェイクのコルまで歩き、ロープウェーでイタリア側の小都市クールマイユールへ、というのが前半のルートである。

5日目、午前中にモンブラン山群越えのロープウェーのイタリア側の展望台エルブロネルに登って展望を楽しみ、午後に車で北の谷に入り、2時間弱歩いてエレナ小屋へ。

6日目、イタリアとスイスの国境のあるフェレのコル(2537m)を越え、緑の谷をフーリー村へ。

7日目、山群のラックブランからのモンブラングランドジョラスを見ながら歩く。北側を車で回ってトリアンへ、ここから南に向って歩き、スイスとフランスの国境のあるバルムのコル(2191m)へ、コルからロープウェーでトゥールへ。

8日目、モンブランと反対の赤い針峰群の中のシェズリー湖(2213m)へ登り、ロープウェーを利用してシャモニーへ下り、モンブラン山群1周を終えた。

 宿泊した山小屋は、エリザベッタ小屋が3段のカイコ棚状だった以外は2段ベットスタイルで、比較的快適である。食事は私には比較的おいしく、イタリア側の山小屋は特に良かった。シャワーも全ての小屋で使えたようである。小屋に着いたあと夕食まで時間のあることが多かったので、いつもビールを飲みながらメンバーが集まって歓談して時間を過ごした。参加者それぞれ個性が強く、楽しい時間であった。山での挨拶は、フランスとスイスではボンジュール、イタリアではボンジョルノと、峠を境にして変わるのも面白い体験であった。

 道は、赤い針峰群側以外は比較的ゆるい傾斜で作られており、岩も少なく歩きやすい道である。着替え等の荷物は先送りするので、2日間分の衣類等と当日の弁当だけを持てば良く、荷も楽である。

 今回は、比較的天候にめぐまれたと言える。赤い針峰群側に登った日、イタリア側のコンバル湿原からの尾根歩き、エルブロネル展望台といった展望を楽しみたい日は全て好天気で、モンブラン山群の景観を堪能した。4回のコル越えの時は山にガスがかかって展望は今一であったが、何回か軽い雨にあった程度であった。今回は7月から8月にかけての期間であったが、ほとんどの場所がみごとなお花畑で、様々な花が咲き乱れる中を歩くというすばらしい気分を味わった。花は日本にあるのに似た花も多いが、アルペンローゼ、ゲンチアンを初め、日本では見られない花も多い。マーモット、アイペックス、シャモアといった動物も見られ、いろいろ楽しめたトレッキングであった。

ラックブランからのモンブラン
グランドジョラスを見ながら歩く
平成22年OB会報NO41より抜粋