東日本大震災における藤中郁生君の被災について
9期(昭和45年卒) 伊藤 健一
 東日本大震災において、9期同期、藤中郁生君(以下、敬称略)が宮城県女川町において被災しました。被災直後から現在に至る状況を報告します。


1.震災直後

(1)藤中状況:
 彼は30年来、女川町で塾講師をしていたが、3月11日、地震後の津波で、教室兼用の自宅・車等、すべてを流された。津波に追われながら山の手に逃げ、2日間、飲まず食わずの後、13日に自転車で娘さんがいる仙台にたどり着いた(当時の様子は*1参照)。
 その後、16日に仙台でタクシーを調達し、デイケア施設にいた91歳のお母さんを連れ戻り、23日に山形空港経由で東京のお姉さんにお母さんを託し、24日にバスで仙台に戻った後、バイクを調達して4月6日に女川に戻り、避難所に入った。

4/15 自宅跡に立つ藤中。右は英国通信社の記者で
この後も女川ボランティアに来た。

(2)8・9期支援:
 11日、仙台に住む私の母の無事確認の際、女川は全滅との話を聞き、藤中の安否を尋ねるべくgoogle person finderに書き込み、13日夜に彼のお姉さんから生存情報を得た。
 17日、仙台にいる藤中から電話連絡を受け、仙台行きバスの発着場所(新宿西口)で24日朝に会うことに。とりあえず、長年同期山行をしていた8・9期の皆さんに義援金をお願いし、また、藤中希望の物資(コッヘル、バーナー、ランタン、水筒等)を桃谷・原田が買出しし、24日、原田・伊藤が藤中に会って17人の気持として義援金・物資を手渡した。物資希望時の藤中の言葉: “これだけあればワンゲル魂でサバイバルしてみせる”
経緯詳細は8期相原さんが立ち上げてくれたネット掲示板(*2)をご覧下さい。


2.その後


(1)藤中状況:
 避難所に入ってすぐ、お寺の一室を借りての寺子屋を開始。最初、生徒8人とのことだったが、5月初めの時点では、土日に寺子屋をやり、平日夜に週3回別の避難所で教室を開き、小1から高2まで全体で30名くらいに教える。いずれも無償ボランティアである。
 桜が咲き始めるその頃、津波で砕けた桜に2,3輪の花を藤中が見つけ、5月半ばに、日本花の会の樹木医を呼んでボランティアに来た私とともに津波桜救出作戦を実施。これを機に女川桜守りの会を設立した(*3)。
 その後、仮設住宅に当たって、6月6日に入居し、女川湾を望む尾根道散歩を再開した(*1続き)。大きな転機がさらに訪れ、NPOが主催し、学校校舎にて被災した塾の先生やボランティア先生が教える“コラボスクール女川向学館”が7月4日にオープンし、以後、藤中は向学館館長として大忙しとなっている(*4)。

(2)藤中サポート:
 女川に戻った藤中の今後をサポートするため、以下の活動を行っている。

a) 藤中サポート基金の設立:

 継続して藤中を支援するため、4/25基金を設立(1口5,000円)の拠出基金拠出を依頼。 代表:桃谷、会計企画:石野、監査物資調達:原田、現地活動連絡:伊藤) 
 集まった基金の一部は、下記活動の中でPC等の物資購入や交通費補助等に使用されているが、将来の自立に向け、継続募集中。

b) 女川でのボランティア活動;

 
・4/11〜16 伊藤(健): 藤中依頼の問題集等を藤中に届け、瓦礫撤去・泥出し等(*5)。
 
・4/29 石野がPCを選定して藤中に送付・・・塾の資料やブログの作成に役立っているはず。
 
・5/1 〜5  伊藤(健/千代) (千代: 旧姓櫻井千代子): 川田農場で野菜収穫・梱包。仙台に居た藤中に
       配送し、避難所に配送。

 
・5/14〜21  伊藤(健/千代): 藤中および日本花の会 田中/田崎氏と津波桜救出作戦(*5)。
 
・7/2〜5  桃谷・原田: 川田農場経由女川へ。野菜を仮設住宅藤中宅に届け、そのまま雑魚寝。
 
・9/15〜18  石野・伊藤(健): 川田農場で大根等の野菜収穫・梱包。女川の仮設住宅154戸に宅配。
 
・11/16〜20  伊藤(健/千代): 木工ボランティア、鳴り砂海岸清掃、その他、藤中友人の仮設商店街出店
         に あたり、カウンターテーブル等の製作を依頼される(*5)。


c) 川田農場:

 川田は、2001年より青森県十和田市の2万坪敷地で大規模ハウス栽培を行っている。震災後、藤中や避難所向けに小松菜・山東菜・水菜や大根等の野菜を栽培し、自ら女川に届けるほか、一部を上記のように同期仲間が手伝っている。

5/2 川田農場にて千代と川田


3.今後


藤中は今はNPO運営による向学館の館長として一生懸命やっていますが、向学館自身、ずっと続くものではありません。2年続くのか3年続くのかわかりませんが、その後、どのように自立していくかを考えており、その歩みに対して藤中サポート基金の援助を示唆されています。
 といっても、現状50万円程度の基金規模ですので、なにほどのことができるわけでもなく、我々にできるのは気持ちを送ることだけでしょう。


9/18 左から石野、藤中、伊藤。藤中の散歩に同行。
山道3時間の結構なコース

 これに共鳴していただける方がおりましたら、基金への拠出をお願いします(会計石野にメール連絡して下さい。振込み口座番号等をお知らせします。
     メールアドレス : QZM10211@nifty.ne.jp

 なお、津波桜については非常に厳しい状況で私も見てきましたが、一部きのこも生え始めて来春、芽を出してくれるかどうか、わかりません。しかし、桜守りの会として、日本花の会に支部加入し、来春1,000本の苗を仮設商店街で育て、将来1万本に増やすとの藤中談・・・心意気がうかがえます。



4.参考


*1: 藤中ブログ ”いきてます” :
           http://blogs.yahoo.co.jp/snfkin1984/19475671.html
*2: TUWV Support掲示板 : http://tuwvsupport.bbs.fc2.com/
*3: 女川桜守りの会 : http://blog.goo.ne.jp/snfkin1984/
*4: コラボスクール女川向学館 :
           http://onagawakougakukan.seesaa.net/ ・・・9/10まで
    以降、特定非営利活動法人NPOカタリバによるHP
           http://www.collabo-school.net/
*5: チームしらかし華の会(被災地に苗を届けるべく、私が立ち上げた団体です。
    ここの“活動記録”に私のボランティアレポートを掲載しています)
           http://www.geocities.jp/teamsirakasi/index.html
平成23年OB会報NO42より抜粋