ギアナ高地トレッキング
5期 (昭和41年卒) 八木 眞介

 昨年の11月下旬からギアナ高地のトレッキングに出かけた。ギアナ高地は子供の頃から行きたいと思っていた場所の一つで、その長年の夢がかなった。

 今回のトレッキングは、前半は、ベネズエラの首都カラカスから国内線・チャーター機・専用車と乗り継いでロライマ山登山の入口であるパライテプイに入り、そこからヘリコプターで早朝ロライマ山の頂上台地に飛び、そこに2日間滞在して頂上台地上をハイキングした後、3日間歩いてパライテプイに戻った。後半は、チャーター機でのエンゼルフォールの展望フライトと、カナイマからアウヤンテプイの北麓を流れるカラオ川と支流のチュルン川をボートで遡っての、エンゼルフオールを間近に望む展望台へのハイキングである。

 ロライマ山はギアナ高地の東部に位置するテプイ(テーブルマウンテン)の一つで、比較的平坦な頂上台地を持つ。頂上台地上は、岩の露出した所が大部分で、奇岩が随所にあり、樹木はほとんどなく、窪地を中心に草類がまばらに生えているという、荒涼とした異次元の世界を感じさせる景観である。池や水晶が一面に露出した水晶の谷と呼ばれる場所もある。花は、数種類の蘭の他、食虫植物や奇妙な形の草花が生え、いずれも固有種である。ここにしかいない真っ黒な蛙もおもしろい。

テーブルマウンテン・クケナンとロライマ山


 エンゼルフォールは、ギアナ高地の西部にあるアウヤンテプイの奥深くにある世界最大落差を持つ滝として有名である。飛行機での展望フライトは幸い天気も良く、滝をよく見られたが、あっという間であった。飛行機から見るアウヤンテプイの頂上台地は樹木が生い茂るロライマ山とは全く違う景観のようである。

 エンゼルフォールの展望台近くへのボートクルーズは、太い丸太をくりぬいたボートで川を約70km位遡るが、下流部は広くゆったりとしており、上流部は急流や岩の多い迫力のあるクルーズである。展望台近くでのキャンプは蚊帳付きのハンモックで、初めてのハンモック体験であった。展望台では、着いた時は滝の下部のごく一部しか見えず、待つこと1時間半で滝の全貌が姿を現した。それは思っていたよりもはるかに高い所に落ち口があり、その高さは「すごい」の一言であった。滝への往復のクルーズでは、川の左岸に延々と続くアウヤンテプイの壁が見られるが、その規模の大きさは荘厳ささえ感じられるものであった。


 エンゼルフォール

 今回のトレッキングは、乾季であるのに午後は雷雨というような天気が続いたが、これまでと別の世界に入ったような素晴らしい体験であった。
平成24年OB会報NO43より抜粋