谷川岳縦走報告
平成23年6月4日〜5日
8期(昭和44年卒) 前田 吉彦

昨年、高校生の頃から憧れていた縦走路踏破を半世紀近く経って実現した。若い時は技術や装備が無く、会社に入ったら時間が無く諦めていた。しかし色々融通が利く年齢になり、一念発起し山行企画を練った。憧れの縦走路は平標山から真東方向の谷川岳に伸びる上越国境線。途中避難小屋はあるものの一日の歩行距離は20kmを越える。

一昨年6月には会社の後輩と天神尾根から谷川岳から茂倉岳経由土樽のプレ山行実施。縦走決行は日が長く、しかもビバークの折水確保が容易な翌年6月と定め、準備を始めた。



 初日は 6月4日車で土合駅に。ここからJRで越後湯沢へ。車中から明日通過予定の万太郎山が遠くに望める。更に苗場スキー場行きバスに乗り継いで、平標山登山口で下車。

 晴天の下、汗ばみながら2時間半の登りで稜線上の平標山の家へ。明日行く、新緑と残雪のコントラストが美しい仙ノ倉や怪奇な姿のエビス大黒ノ頭が目の前に広がっている。夕飯まで時間があるので、2時間掛けて南方の大源太山を往復。ツバメオモト、シャクナゲなどが咲きほこり、優雅な時間を過ごす。今宵の宿泊者は我々だけだとか。

平標山の家 ツバメオモト
イワナシ キジムシロ ムラサキヤシオ


 翌朝は2時半起床、まだ寒く暗い3時55分出発。木製の登り階段が続くが、残雪で寸断されている。4時50分平標山到着、普段は登山者が多いが、今朝はまだ誰もいない。明るくなってきた草原を横切り、次のピーク仙ノ倉に5時50分到着。仙ノ倉は谷川連邦の最高峰だが標高は2026mしかない。

 この付近の森林限界は1500m程度のようである。仙ノ倉山頂からは、大きな万太郎、その先に谷川岳のツインピークも見えるが遠い。遠い。

 ここからは我々にとって未踏の稜線。シラネアオイのお花畑を急降下し、狭い岩尾根を進むとエビス大黒ノ頭6時50分。南の赤谷側は急峻な崖で、吸い込まれそう。北側の谷から雲が湧き上がるものの、引き続き展望の良い狭い尾根をひたすら歩く。

シラネアオイ

恵比寿大黒の頭付近から仙ノ倉を振り返る


 標高1568mの毛度乗越7時40分。笹原が広がる長い万太郎山の登りとなる。東俣の頭を巻いて、ようやく万太郎山に達する。9時10分、小屋を発って5時間強。道半ばなので、30分の大休止。赤谷川本谷源頭を囲む山腹には残雪が多い。

毛渡乗越付近のシャクナゲ キクザキイチゲ
万太郎山から赤谷川源頭を望む
万太郎山頂 ハクサンコザクラ

 元気を取り戻したところで、ハクサンコザクラ等のお花畑の中をアップダウンしていく。大障子ノ頭10時25分、小障子ノ頭11時10分、オジカ沢ノ頭12時到着。ここまで来ると先が見えてきた。しかし、中ゴー尾根の分岐付近で雷鳴、雨も降り始めた。雨具を着たり脱いだり、時間はどんどん経っていく。やっと谷川岳直下の肩の小屋に着いたのが13時40分。

 ナエバキスミレ ヘロヘロになって着いた肩の小屋


 小屋は雨宿りの人で混雑、通い慣れた天神尾根を駆け下る。雷雨が一層悪化、熊穴沢ノ頭避難小屋で30分停滞。結局天神平ロープウエイ駅に着いたのは15時55分。本当に長い一日であったが、締めは麓の温泉宿で祝杯。

 今手元に厚いアルバムが一冊残った。これからも何かに挑戦できればと願っている。

平成24年OB会報NO43より抜粋