20期〜22期 白神岳笹内川
22期(昭和58年卒) 石川 勤

毎年恒例になった夏の沢。世界自然遺産になり入山制限もある白神山地は、制限されると行ってみたくなる人間の習性でこの数年考えていた。某教授がフィールド調査の目的で入山許可を取り、我々メンバーはポーターとして調査員に加わろうなどといった案である。しかしながら某教授は若い女性隊員を中心に物事を考えてしまう当てにならない性格でもあり、白神山行は長らく実現しなかった。

 そこで発想を転換し、唯一経験者である20期岩屋を隊長にして、入山制限のない笹内川から白神岳に登ることにした。参加者は岩屋PL以下、21期冨士原、22期石川の3名。

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7月26日、こまち3号、しらかみ3号を乗り継ぎ十二湖駅に予約していたタクシーにて笹内川に入る。この日は堰堤までの1時間の歩きでテント泊のみのため、途中十二湖の青池を見学。天候を心配していたが幸いにも晴れた。

広々した快適なテンバである。最近ネットで買えるようになったハウス本豆腐で麻婆豆腐をつくる。この数年は高野豆腐を使っていて不味いと不評だったが、今回は好評。15時過ぎより酒を飲む。

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7月27日も朝から晴れている。5時ごろ堰堤を出発。歩き始めて1時間ほどでスノーブリッジに遭遇した。7月末の標高400mでスノーブリッジは想定外だった。観察したところ上部が厚く重そうではあるが、穴はあるものの立派なアーチ状となっている。通り抜ける川原部分に障害なく、高巻きも難しい地形のため、一人ずつ潜り抜けることとした。


 スノーブリッジを抜けるとすぐに魚泊滝が現れた。魚泊滝は笹内川では一番立派な滝であり登れない。右側から高巻くも、草付きがいやらしくザイルを使って尾根に這い上がり、懸垂下降で沢に戻る。その後はしばらく快適な沢歩き。11時ごろ高さは2mぐらいであるが微妙なへつりを要求される小滝が現れ、トップがザイルのみを持って先に進みザックをひとつずつ吊り上げた。このような作業に何故か多くの時間を使ってしまう。


 沢登りを堪能しつつ14時ごろ最後の20m滝に着いた。一見して直登は特に落ち口が危なそうなのでやめる。最初に右のガレを登ってみたが、急で落石も懸念され怖いのであきらめた。次に左側の草つきをトライしたがこれも途中で行き詰る。小雨始まる。ここで沢の様子をほとんど忘却していた岩屋PLが現役の時のことを思い出す。「あのときは直登だった。」なんと危ないことをしていたのか。

さて、しかたがないので少し戻り右から大高巻きを開始。すぐに急なヤブになった。早く安全なところにとひたすらヤブを登り、一息ついた時には沢は左側かなり下に見えた。白神のヤブは辛いことで有名なので、どこから沢に戻ろうかなどと考えていたところ天候が変わり大雨となった。

 ここで、安全第一を旨とする建設会社勤務の冨士原がこのままピークまでヤブを漕ぐことを主張し採用となる。冨士原トップで1時間漕ぎ、小休止の後トップを岩屋PLに交代。灌木と笹の強烈なヤブが理由でもあるが、なにやら進みが遅くなる。(岩屋談:心が折れていました。)このまま夜になることを恐れ、トップを石川に交代し更に1時間強のヤブ漕ぎ。17時30分稜線の一番高いところに正確に出て3時間のヤブ終了。

ピークの避難小屋に着いたころには、雨もやみ雲間より日本海に沈む夕日を見た。小屋で身に着けていたものを全部乾して、酒を飲み始めたが疲労のためすぐに眠くなる。テントでなくて本当に良かった。小屋には他に宿泊者1名のみ。人が少ないことが白神の良さでもある。


 翌日28日も早立ち。下山後の交通が不便で、五能線に合わせて下りないと帰れないため。普通の道を下る予定が、何故か下り口から間違え二股に下りてしまう。ロープ頼りの急な道だ。下山口に呼んだタクシー(非常に親切)でヴェスパ椿山に行き風呂に入り、快速で向かった秋田で反省会-秋田市名物?チャンポンを食し、解散。

平成25年OB会報NO44より抜粋