毎年恒例、冬の八甲田と千人風呂
3期 (昭和39年卒) 後藤 龍男

 毎年恒例の冬の八甲田へ出かけました。目的は八甲田山のスノートレッキングと酸ヶ湯温泉での湯治です。ちょうど日本列島に寒波が襲来していた時期で、酸ヶ湯温泉は観測史上最高の4メートル50センチの積雪でした。宿の手前1キロのところで猛吹雪のホワイトアウト状態になり、車が前に進めません。50センチ先も見えないので車が吹きだまりにスタックし、危うく宿にたどり着けないところでした。宿から救援を呼ぶ羽目になりそうでした。

 1週間ほど前、北海道の国道が吹雪でホワイトアウトになり、車に乗った親子が自宅のすぐ手前で遭難死しましたが、ホワイトアウトの怖さがよく分かりました。たどり着いた酸ヶ湯温泉は、玄関先が雪で埋まっていました。


 翌日は吹雪。八甲田山ロープウエーも止まっているのでどこへも出かけられません。終日酸ヶ湯温泉名物の千人風呂を楽しみました。乳白色の湯に浸かっていると天国です。浴槽でなにやら工事をしています。聞くと混浴の大浴場に女性用のしきりを作るとのこと。若い女性の入浴を覗き見する不届きものが増えたからとか。酸ヶ湯の千人風呂にしきりを付けるとは、無粋な世の中になったものです。

 三日目は天候が回復し、ロープウエーも動きました。八甲田山頂上駅までロープウエーで上がり、はるか下方に見える酸ヶ湯目指して大雪原のダウンヒルです。頂上駅は風が強く、斜面がアイスバーン状態で歩きづらかったのですが、少し下りかけるとふかふかの新雪。スノーシューを履いていても腰まで雪に埋まります。スキーの連中は構わずどんどん行ってしまいます。中腹の毛無岱まで下りると素晴らしい雪原が広がっています。夏は見事は湿原です。冬の八甲田の醍醐味といえましょう。 途中でコーヒーを飲んだり、写真を撮ったりしながらの楽しい2時間でした。

平成25年OB会報NO44より抜粋