アンダルシアの白い岩壁そして青い空と碧い海
8期(昭和44年卒) 佐藤 拓哉

アンダルシアの白い大きな岩壁はクライマーの憧れである。見渡す限り続くオリーブの林の彼方に聳える石灰岩の壁は、青い空とのコントラストが美しい。冬にヨーロッパ各地からクライマーが集まるスペインの岩場の中でも最も有名なアンダルシア/エル・チョロが今回の舞台である。写真を見るとすべて垂直、と言うより被っており、とても登れそうにない、と思いつつ足が向いてしまった。

今回のスペイン旅行は、いきなりトラブルから始まった。マラガ空港で荷物を受け取ろうとしたところ、一つがまだパリ・シャルルドゴールにあるという。翌朝に着くというので、アパートの住所を伝え、取り敢えずレンタカーでロザリオ村に向かった。高速道路からも一見してそれと分かる「白い村」である。車が通る時は人が壁に貼り付かなければならないような狭い迷路を通ってようやくガイドの家に着いたところ、今度は誰もいない。近所の人が集まってきて心配してくれるが、英語とスペイン語とではほとんど通じない。それでも、ようやくイベントに行っているらしいということで、夕食を食べてからまた来てみたが、やはり留守である。近所の人が電話してくれ、まだイギリスにいることが分かった。何と言うことか、途方にくれていたところ、仲間のガイド(面倒をみるよう頼まれていたとのこと)が現れ、ようやくアパートに落ち着くことができた。仲間のガイドとなかなか会えなかったのも、マラガ空港でのトラブルで到着が遅れたためである。

翌朝、パリで1泊した荷物を受け取ってから、近くの岩場に出かけた。石灰岩の大きな山である。ルートは難しくないが、12ピッチという長丁場である。初日にしては少々ハードである。石灰岩特有の、雨で侵食された凹凸の大きい岩を快適に登った。北側の斜面なので、午後からは気温が下がり、寒くなった。まさか使うとは思わなかったダウンジャケットを早速使うことになった。二日目は、同じ山群の南側の岩壁であった。雲一つない快晴で、今度は暑さとの戦いでもあった。

三日目から三日間はいよいよ、ロザリオ村から車で1時間半西に走ったところにある、エル・チョロである。南面の岩壁で、白い壁が眩しい。まるで真夏のような暑さである。初日は4ピッチの短いルートであるが、垂直に近い壁が続き、石灰岩特有のクライミングを楽しむことができた。二日目と三日目は8ピッチと手頃な長さであった。しかし、二日目はクライミングが終わった後、頂上まで登り、大きく迂回して下山したので、車に戻った時にはすっかり暗くなってしまった。クライミングよりその後の方がはるかにハードであった。

エル・チョロを登る


 五日間のクライミングの後、アンダルシア各地をドライブし、1泊でモロッコまで足をのばした。モロッコのカスバ(昔の要塞跡)から眺めた青い地中海とその向こうのスペイン、そしてジブラルタル海峡を渡るフェリーから眺めた大西洋に沈む夕陽は忘れがた景色となった。

最後にバルセロナに移動し、12年前は工事中で入ることができなかったサグラダ・ファミリアの大聖堂を見て、スペインの旅も終わりとなった。

カスバから地中海を 大西洋に沈む夕陽
平成25年OB会報NO44より抜粋