日本山岳会ワンダーフォーゲル部のこと
33期 (平成6年卒) 星 征雅

4年前に縁あって日本山岳会に入会し、青年部という海外遠征を目指す集まりのメンバーに加えてもらった。40歳をすぎてほぼ毎週、クライミング、沢登り、岩稜、縦走、山スキーと現役の時と同じ頻度で山に通い、未だに焚き火で泥酔して歌集で歌っている。自分が遠征に行くことは仕事や家庭を考えるとありえない事だが、身近な山仲間がネパールやスイスに行くのを見送り、帰国後に話を聞くのは非常に刺激的である。片や、ヴァリエーションをやる仲間が増えれば遭難と無縁でいられなくなるという事も、今年、知人を雪崩で亡くしてからようやく気付いた。

日本山岳会は創立110周年の伝統ある会であるが、過去は大学山岳部OBにしか門戸を開いてこなかったため、ヒマラヤ遠征の黄金時代を過ぎると、大学山岳部の人数減少を背景に会員の高齢化と減少が進んだ。早晩、行き詰ることが明らかであり、会員数の増加と若返りを図るべく、誰でも入れる会に変わった。私が入会したのもその流れの延長上である。ちなみに山岳部とワンゲルでは山の志向が違うので当然ではあるが、地図読みや天気図のレベルはワンゲルの方が上と感じている。

山岳会の運営は有志がボランティアで行っている。山を始めて日の浅い入会者も多く、経験者として講習会にスタッフとして参加していたりしたが、今年から理事を務めることとなり、本格的に運営に携わることになった。主に新人会員の育成を担当しており、首都圏の入会者の受け皿として新たに作った「日本山岳会ワンダーフォーゲル部」の運営を任されることになった。メンバーは同世代(アラフォー)の山ガールを中心に100名ほど。前述の青年部の危ない山行からは足を洗い、比較的オーソドックスな縦走に軸足を移し始めた。運営はまだ手さぐりで、山に行きたい多くの会員たちに十分な場を提示しきれていない状態が続いているが、TUWVで学んだことを新しい登山者たちに広めるべく、終業後と土日を使って鋭意取り組んでいる。

同世代に比べて比較的早く育児が終ったこともあり、気兼ねなく山に行けるのが有難い。皆さんの中でも、育児が終り、山の経験者としてちょっと一肌脱いでみようか、という方がいらっしゃったら、ぜひお声掛けください。得意分野で自分が必要とされるという体験には、会社生活ではなかなか得られない充実感があると感じています。

源次郎尾根から剱岳へ(2014年秋)
平成27年OB会報NO46より抜粋