虎毛山
4期 (昭和40年卒) 大東磐司こと小原佑一
 入部した当初、東北の山ってどんなものかと地図を眺めていた時から気になっていた鬼首の奥の虎毛山。その変わった名前だけでなく、地形図から想像する広く平らな頂上。

 最初に登ったのは宮城県境稜線の踏破の一部として歩いた1966年3月、栗駒の温湯から春の新雪をラッセルしながら登り、虎毛山頂手前で吹雪のため三晩のビバーク、そして鬼首への敗退。その年の5月のリベンジ、鬼首峠から残雪を利用して虎毛の山頂往復、3月ビバークしたところを捜したが特定できず。

 あれから何度か鬼首峠を車で通過したが、ほぼ半世紀たった今秋、鳴子温泉郷で学科の同期会があると言うので、せっかく近くに行くのだからと登山道がある秋ノ宮温泉側の赤倉沢ルートで虎毛山行きを計画してみた。

  
**********************************************************

 雨の降る夜の東北道を走り、途中那須高原SAで車中仮眠、どうせ雨だろうと油断していたが目が覚めると雨は上がっている。古川ICで高速を降り、国道47号を鳴子で別れて国道108号へ、鬼首峠のトンネルを抜け旧道との合流点の少し先で「虎毛山登山口」の黄色い標識に従って役内川沿いの細い道路に降りる。舗装はされているがめったに車の通らないような谷沿いの道を進むと駐車場とかかれた札が立っている広場に出た。

 ここにも黄色い虎毛山登山口への道標が立っている。しかし、ここから沢沿いに草に覆われて細いが車が通れる道が分かれている。ネットで得た情報ではもう暫らく車で入れそうなので慎重にゆっくりと進む。これ以上車では無理と思われる少し広くなったところに車を置き歩き始めたのが10時、川渡温泉でのチェックインが3時なので頂上まで登ることは無理だが雰囲気だけでも楽しんでこようと歩き始める。ここではもう紅葉も散り晩秋から初冬の静かな山路。路肩が崩れている箇所もあったが以前は車も通ったような比較的平らな道をのんびり歩く。

 虎毛に取り付く尾根のふもとの渡渉地点に到着。冬に備えて橋ははずされ、前日までの雨で沢は増水しており濡れずに対岸に行くことはちょっと無理。夏だったら少しくらい濡れても気にしないのだがこの季節、冷たい水の流れを見て意気地がない。少し時間をかけて近くから丸木を拾ってきて架設の橋をかけて渡る。

橋掛け

ここから急な登りが始まる。落ち葉が積もり地面の石や凸凹が良く判らないようなところもある。倒木が道を塞いでいる。「平成8年8月11日の秋田宮城県境付近を震源とする地震で地盤がもろくなっており樹木の根は不安定です。強風で倒れる心配があるので注意!」 との注意警告の立て札。

道はグイグイ登って高度を稼ぐ。「この切り株を三脚代わりに「倒木のオブジェ」と記念写真を!」 なんていう立て札も・・・・・

周囲の樹がブナからヒノキに替わった地点あたりで県境の稜線が見えるが肝心な虎毛の平らな山頂は雲に隠れて何となくそれらしく想像できる程度。

虎毛山頂を望む

時刻は12時を過ぎ、そろそろ下山を決断するタイミングとなる。GPSでは海抜980m、虎毛の山頂までまだ450m、残念だが引き返すことにする。

山の様子は分ったので機会があればまた来てもよい山だ。頂上付近に避難小屋があるとのことなのでのんびり登って上で一泊するのも天気が良ければ最高だろう。また近所には高さ30m近い温泉の滝、「川原毛の湯滝」もあるから来年にでもまた訪れてみたい。

平成27年OB会報NO46より抜粋