妙義山の紅葉を 故水上俊彦君に捧げる
8期 (昭和44年卒) 相原 敬

 日本の紅葉は色彩豊かで世界一美しいと言われる。その紅葉舞台は多種多様で、京都の寺社に代表される建築物と調和する紅葉、ひなびた山村の風情ある紅葉、渓谷を走る車窓に流れる紅葉などなど数え上げればキリがない。山を愛する者としては山中で出逢う紅葉風景に心惹かれ、まさにその美しさは秀逸である。

 群馬県には『上毛かるた』なるものがあって小学生の頃から馴れ親しんできた。山を題材にしたものも多く、特に「もみじに映える妙義山」の図柄が綺麗で好きだった。北ア等の高山や谷川岳、安達太良や栗駒で眺める潅木帯の紅葉も見応えがあるが、妙義山ではモミジを中心とした情熱的な紅が頭上に広がっている。

 山に登る人たちは四季のうつろいに敏感で、とりわけ群馬では春のアカヤシオ、秋の紅葉、冬の霧氷を追いかけてあちこち県内を駆け巡るのが常である。妙義の紅葉時期は他の山岳地よりも遅い11月中下旬くらいなので、山岳紅葉の見納めとして県外から訪れる人も多い。表妙義の岩壁と織りなす紅葉に魅せられ、裏妙義の雪混じりの紅葉も晩秋と初冬がないまぜになって見る人の心に沁みるものがある。この美しき世界を切り取って、富士山で非業の最期を遂げた水上俊彦君に捧げ追悼したいと思う。

 OB会の皆さまにも是非一度妙義の紅葉を味わっていただきたい。妙義は峻険な山ではあるが、高齢者向きのハイキングコースは少し体力に自信をなくした方でも容易に歩けるのがありがたい。数年前のクライミングの帰りに拓哉と共に感動した思い出も記憶に新しく、今年はつい先日13期の岡部さんご夫妻と偶然一緒になり、初対面ながらモミジの下で親しく昔話に興じたのであった。

表妙義 白雲山
裏妙義紅葉谷より ゴツゴツの表妙義山稜
真っ紅に炎上するモミジ
13期岡部さんカップルと一緒に
平成29年OB会報NO48より抜粋