水上さんのこと
8期 (昭和44年卒) 佐藤 良子 (旧姓荻原)

 家のベランダから西を見ると富士山が見えます。新雪に輝く富士や夕焼の中のシルエットなど、季節や時間の変化に応じて富士はいつも美しい。ダイヤモンド富士を見れた年もありました。

 今年5月、突然水上さんの遭難を知りました。その日から富士山は水上さんが存在する山になってしまいました。

 富士宮警察が捜索を打ち切った後、ワンゲルの有志が捜索に向かうことになりました。情報交換やミーティングを重ねて周到な準備をした後の6月24日でした。私もその日に合わせて友人と三浦半島のとある岬「黒鼻の岬」に行くことにしました。相模湾の向こうに富士山が手に取るように見える場所です。何と、私がまだ岬に辿り着かないうちに拓哉さんから電話が入りました。水上さんが発見されたのです。

 水上さんは退職後、会社の仲間たちと三浦半島をよく歩いてました。その帰り、うちに寄ることが度々ありました。ザックには決まってチリワインのボトルと自分が読み終えた数冊の小説が入っていて、それらは皆うちに下されました。来ればいつも一緒にワインを飲み、いろんな話をしました。彼のバリトンの声が耳に心地よかったです。

 水上さんはかなりの読書家だと聞きました。部屋は本だらけで、奥さんに苦言されるほどだと・・・・。それで最近は本を買わずに、家族中の図書カードを持っていって、図書館の本をたくさん借りてきて読んでいるのだとも言ってました。読むのが相当速かったんでしょうね。

 好きなことにとことん集中する彼、今ごろ天上では何に夢中になっているんでしょう。あの穏やかな笑顔は今も変わらないのでしょうね。

横須賀から東京湾越しに見る富士山 東京湾を背に@横須賀 馬堀海岸
馬堀海岸のマイホームを、よく訪ねてくれた いつもチリワインで乾杯 料理は拓哉さん
平成29年OB会報NO48より抜粋