近年の学生および社会人による
ヒマラヤ未踏峰登山の試み
( 記念式典講演 )
33期 (平成6年卒) 星 征雅

 新橋での新年会には「平成卒は会費半額」との誘い文句があるが、昨年に引き続いてこの恩恵を得たのは私のみであった。席上で、仙台で開催予定の60周年記念式典で講演するよう求められ、会費を負けてもらっているし、半年以上先の事だし、と軽い気持ちで引き受けてしまった。他にOBとして話をするのは27期の平塚晶人さんである。平塚さんはフリーライターとして著作もある有名人であるが、私は全くの若輩者である。たまたま日本山岳会の理事を引き受けている関係でご指名いただいた。自分のネタで話せることはないので、山岳会の知人たちがヒマラヤ遠征に行くのを見送りつつ感じてきたことを整理してみた。

 ヒマラヤの標高が高いと言っても日本との緯度の違いが顕著であり、ヒマラヤの5000mは、やや乱暴なたとえだが、北アの3000m、東北の2000m、北海道の1000mに相当すると言える。現地の不便な国内移動と、高度順応するための日数分の休暇さえ確保できれば、ヒマラヤ遠征は技術的にも体力的にも決して夢物語ではなく、日頃の山登りの延長上にあると感じている。お金はかかるが年齢的なハンデは大きくはない。それをお伝えしたかった。

 会は大変盛況で、現役学生の活動報告も楽しく、若い世代の参加者は少なかったものの卒業以来の懐かしい方々にもお会いでき、楽しい時間を過ごさせていただいた。幸い、講演内容にも興味を持って聞いていただけた様子で、ほっとしている。

 翌日は8期の佐藤さんの指導で、現役学生と丸森の岩場に行った。まだ山を始めて数年の学生たちの動きや思考の若さに触れ、自分も若い時はこんなだったのか、と、気づかされることが多々あった。

 私の現役時代には、世代を超えたOBとの交流がなく、卒業後も前後数年のメンバーとしか交流を続けてこなかったが、新年会をきっかけにワンゲルの創立時の雰囲気を知り、学生歌を歌い、部歌を歌い、学んだことがどのような歴史の中で引き継がれてきたのかを知ることができたのは良い振り返りとなった。加えて、今回、記念式典という場で貴重な機会を与えていただいた。改めて実行委員の皆様に感謝申し上げます。

講演する星征雅氏
平成30年OB会報NO49より抜粋