TUWVの最近( 記念式典講演 )
58期 (4年生、前主将) 星 優平

 子供のころファンタジーが好きでした。デルトラクエストやロードオブザリング、ハリーポッター、ネバーエンディングストーリー、崖の国物語…。たくさんの本を読みました。そして、いつかそんな胸がときめくような冒険がしたいと思っていました。しかし、中学校・高校と進学するにつれて部活や勉強に追われるようになりました。自分を取り巻く世界は広がり、当然のように関心は別の方面へと移っていきました。いつしか自然に対する興味や愛情は薄れ、冒険に対する憧れは過去のものとなりました。そんな中、大学に進学した僕はTUWVに出会いました。当時(2015年)の夏合宿のテーマだった西表島海岸サバイバルに惹かれたのだと思います。ここでの活動はまさに冒険でした。刻々と姿を変え続ける自然に挑むことは不確実で危険です。だからこそ出来得る限りの準備をしなければなりません。雄大で美しく厳しい自然。一人ではきっと越えられない障壁もパーティを組めば越えることができました。TUWVに入らなければ決してできなかった体験だと思います。

 TUWVは今年で創部60周年を迎えました。これほど長く続くというのはとてもすごいことです。記念式典では多くのOB・OGの方々から現役時代のお話を伺い、この60年は続いた60年ではなく、繋いだ60年であることを実感しました。先代から続く伝統を守ることで大きな事故や事件を起こさなかったことはもちろん、自然を大切にし、積極的に関わっていくというコンセプトは多くの人の理解を得て来たのだと思います。さらに、近年の部員数の減少を持ちこたえたことも大きかったと思います。一学年の部員数が1名という状況は多くあり、年度によっては0のこともありました。そういった中で大学院生や若い社会人OBのご協力を得つつ、何とか途絶えさせることなく60年の節目を迎えることができました。昨年からはOBの佐藤拓哉さんにロープワーク講習会を開催していただき、安全なクライミング技術を勉強しています。現役生にはOBの方々との繋がりをこれからも大切にしていってほしいと思います。

講演する星優平氏

 最後に最近のTUWVの活動について簡単に紹介します。今の活動も昔と変わらず夏合宿を中心として行われています。4月には泉ヶ岳で新歓登山を企画し、ワンゲルの活動に興味を持つ新入生と交流を深めています。5月は訓練合宿です。面白山での新人訓練合宿と二口山塊での旧人錬成合宿を行っています。6月から7月にかけては夏合宿に向けたプレ山行を企画し、東北各地のフィールドに出向いています。夏合宿では約1週間の山行を行っています。最近では南アルプスでの縦走や北アルプスでの沢登り、沖縄の西表島での海岸歩きなどが実施されました。秋以降はフリー山行や次年度に向けた準備・トレーニングをしています。冬季山行は行っていませんが、ゲレンデでスキーやスノーボードを楽しむ部員もいます。直近の活動については、ホームページやTwitterで報告しておりますのでぜひご覧ください。

 近年、若い人たちの間で登山やキャンプがブームになっているそうです。僕の周りにも「ワンゲルに興味あったんだよね」という学生が意外に多くいます(本当です)。こういった流れがTUWVを後押ししてくれることを期待します。頑張れ現役生。

西表島
大行沢
平成30年OB会報NO49より抜粋