焚き火
4期 (昭和40年卒)「大東磐司」改め「山野彷徨爺」こと 小原佑一

 最近、第何次かのアウトドアブームとかで「グランピング」とかいう超豪華なホテル泊のようなキャ ンプが話題になっています。 一方、COVID-19の感染で「ソロキャンプ」という形で「グランピング」 に逆行するような個人単独タイプの簡素なキャンプもはやっていうようです。グランピングに焚き火は 場違いかもしれませんがソロキャンプでは焚き火を大いに楽しんでいるようです。

 キャンプで欠かせなかったのが「焚き火」!! 最近、山と渓谷社から「焚き火の本」という書籍が出版されたのを新聞広告で見つけ、早速図書館から 借りてきて読んでみました。 ただ、その焚き火もずいぶん変わってしまったようです。

 ワンゲル新人時代(半世紀以上昔)、一日重いザックを背負って歩き通して夕方テントサイトに着く とクタクタの身体でまずは薪集め! 林の中、潅木や雑草を掻き分け、時にはハイマツの下に潜り込 んで適当な枯れ枝を捜し出して引っぱってきたものです。 集めた薪で火を起こし、夕食の準備! 雨など降っていたら最悪。焚き火が上手く燃えなければ、お こげ・生煮え・芯あり・粥は当たり前!当時は一人飯盒一個で1日分、食べなきゃ持たないので上手く炊 けていなくても無理やりかけ込みました。

 焚き火の上手な人は本当に尊敬しました。雨が降っていようが、薪が湿っていようがマッチ3本で火を 起せなかったらダメだとも言われました。ザックには必ず濡れないようにプラスチックの袋で厳重に保 護した古新聞をたきつけように入れていました。

 フリーの山行では良く食事が終わるとパチパチと音を立てながら揺らいでいる炎を静かに眺めていま した。

 最近、焚き火は木炭を使うバーベキュウやダッチオブンを使いとき以外あまり調理には活用されてい ないようです。炊事はもっぱら液化ガスカートリッジやガソリンのバーナー。焚き火はもっぱら炎を楽 しむため。

 最近、北欧のテレビ局が焚き火の炎の映像と音だけを長時間放送し、それが大変好評だったとのこと で日本のラジオで焚き火の音だけを長時間放送したそうです。ユーチューブで「焚き火」を検索すると 焚き火の動画が沢山みつかります。

 甥っ子が信州の秘密基地と称している私のところに来てバーベキュウの後、薪を少しずつくべながら 焚き火を楽しんでいました。ただ下を見ると金属の入れ物の中で燃やしていました。「それ何だ?」と 聞いたら「焚き火台 知らないの!」 と馬鹿にされてしまいました。焚き火の火で地面を損なわないように今は直接地面で焚き火をすること はないとのこと。

 ここ秘密基地は明治時代に火災で焼けてしまった屋敷跡なので土台に使っていた大小いろいろな石が出てきます。畑の脇にのけておいた石を見て、この石を並べて直火で焚き火が楽しめるよう焚き火用の 炉を作ってみました。これなら安心して直火で焚き火をたっぷり楽しめます。

 冷たいビールを呑みながら炎を見ていたら、石窯でも作ってピザを焼いたら、なんて考えてしまいま した。 でも調べてみるとそこらに転がっている石ころで石窯を作るのは難しそう。とりあえず耐火煉瓦を積み 木細工のように積み上げるだけでも簡単なピザ窯が作れそうだとわかったので挑戦してみた。約50個の 煉瓦はモルタルで固定せず、ただ積み上げるだけにして組み替え、撤去が簡単に出来るようにした。薪 を燃やすと積んだ煉瓦の間から炎や煙が少し漏れてくるが窯の中の温度は軽く300度を越えるのでピザ を焼くには十分。熱々の焼き立てピザが食べられます。

 焚き火が終わったら、インドから買ってきた素焼きの深めの小皿に使い古した食用油を入れて火を点 した灯明。真っ暗な庭をバックにゆっくりと揺れる小さな炎を楽しむ!
これまた風情がある! 晴れていれば昼間は農作業に汗を流し、暗くなってからは静かに揺らいで燃える炎を眺めながら独り食 事や酒を楽しむ、 これって贅沢だなぁ〜〜〜!


焚火 灯明
ピザを焼く
令和2年OB会報NO51より抜粋