おぎゃーさんを偲んで
9期 (昭和45年卒) 伊藤 千代子(旧姓櫻井)/ 健一

 おぎゃーさん・・・・・
いつも言葉少なでニコニコ笑っていた。
笑うときもコロコロ小さな声で楽しそうに身をよじる。
話をしている時、ウンウンとうなずいて自分はあまりしゃべらず聞いてくれる。

 山は二年の夏合宿。苦しかった北岳の登り、美しくて楽しくてちょっとドキドキした塩見岳のピストン、ころがり落ちるような農鳥の下り。その中でいつも安心感のあるサブリーダー。最高の合宿を中里さんと共にプレゼントしてもらった。

 おぎゃーさん、ありがとうございました。
心から感謝を込めてご冥福を祈ります。    〈 千代 〉

   プレ合宿(後列左から3人目がおぎゃーさん)    夏合宿本番 "仙丈ヶ岳をバックに”(右端)
間ノ岳から農鳥岳を望む(左端がおぎゃーさん)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
栂平園地までウォーミングアップ ( 2001/9/8 前列中央 )・・・ 翌日の一切経山は雨
尾瀬小屋にて( 2005/9/10 後列中央 )・・・ 翌日の尾瀬ヶ原は雨
KENCHIYOKENCHIYOKENCHIYOKENCHIYOKENCHIYOKENCHIYOKENCHIYOKENCHIYOKENCHIYOKENCHIYOKENCHIYO

 佐藤良子さん(旧姓荻原さん)のことを、8期・9期の皆さんはみんな、“おぎゃーさん” と呼んでいます。メッチェンパーティで中里さんと二人並ぶと、迫力がありました。

 本稿を書くにあたって、私が保存していたワンゲル年報 “報告”の9〜11号を見てみたのですが、おぎゃーさんの寄稿文が11号(おぎゃーさん卒業年の最後の報告)、136頁にあるのを見つけました。報告を持っている人はほとんどいないでしょうから、以下に全文、転載します。


 荻原良子

 私は山や海が好きです。
けれど、私がワンゲルで知った喜びは、自然そのものからではありません。自然の中で育った仲間との“交わり”からです。

 人と人とが手を繋ぎ合い、力を合わせれば独りではとても味わえないような大きな喜びを生み出すことができます。女性だけでアルプスを貫走した喜び、何日間もテントを背負って歩き続けた三陸海岸の思い出、そして四年間も何百日という山の生活、これらは皆、自分独りでは作れない思い出ばかりです。

 ワンゲル生活をとおして感じたことは、こういう共同生活の喜び、人間の団結の尊さです。恐らく、将来ふり返ってまっ先に思い出されるものは、アルプスや東北の山々ではなく、その時一緒に喜びや苦しみを共にした友人一人一人の顔でしょう。


 確かに、うちらがワンゲルの昔話をするとき、山とか海自体はもちろんいいのですが、あの時誰々がこうだったとかこんな面白いことをしてたとか、皆と行ったときのエピソードが必ず出てきて盛り上がります。皆と一緒であることのすばらしさを私は特に意識はしてなかったのに実際は、実にその通り。

 おぎゃーさんは昔からはっきりわかっていたのですね。(千代ちゃんの思い出文―前出ーを見ても頷けるのです)
そんな感じの、皆がたくさん一緒の写真を、最後に添付します。 合掌。 〈 健 〉

1968年11月3日 最終合宿(泉ヶ岳) 8期・9期の集合写真
( 後列左から5人目が、“おぎゃーさん” )

令和2年OB会報NO51より抜粋