山に登らず麓でグダグダ過ごす
4期 (昭和40年卒) 大東磐司改め山野彷徨爺こと 小原 佑一

 ここ2年ほど山には登っていません。高齢で基礎疾患持ちの身では感染すれば重症化してしまうのではないかと心配になり、不要不急の外出自粛を実行してきたからです。

 それでも八ヶ岳の麓の過疎の集落には時々出かけて行って息抜きをしていました。茅野駅から奥蓼科温泉渋の湯に向かうバス道の最後の集落の真ん中に秘密基地と称している寝泊まりできる小さなプレハブの建物があります。明治時代に火災で焼失した屋敷跡をズーッと農地として隣人に耕作してもらっていましたがその隣人も亡くなってしまい、その後耕作放棄地となっていました。
 集落の真ん中に雑草を生い茂らせておくわけにもいかず、そこを再開墾して野菜を少し作っています。今までは月一くらいの頻度で行っては雑草の刈り払いを主にジャガイモ、味噌用の大豆、カボチャ、キャベツや白菜などの葉物野菜、大根、長ネギ、玉ねぎ、にんにくなどあまり手をかけなくて良い作物を作っていました。

 首都圏での感染が広まってからは他県ナンバーの車は肩身が狭く感じ、特に高齢者の多い過疎の集落なので行きづらくなりました。それでも雑草は生えてくるので行かないわけにはいかず、行ってもできるだけ目立たないように、出歩かないように静かにしていました。
 夕方になると庭に作ったピザ窯で薪を燃やし始めます。ピザ釜はピザを焼く以外にオーブンの代わりにも使います。窯の天井部分を外し、ステンレスの棒に生地を流し巻きつけながら焼けばバウムクーヘンも可能です。
 ピザは小麦粉とイーストで発酵させて半日くらいかけてピザ生地から作ることもあるし、簡単には市販のピザ生地を使うこともあります。窯が十分に加熱されていれば2〜3分でピザが焼きあがります。熱々のピザをかじりながら冷たいビールをゴクリ!
 ダッチオーブンの代わりに鋳物の鉄鍋に肉や野菜、チーズや調味料などを並べ窯に入れたオーブン料理も楽しめます。

 暗くなってきたら外のテーブルに石油ランプを置いて信州のワインや屋久島の芋焼酎を楽しみます。あとは窯の焚き口に座って揺れる炎を眺めながら静かな時間を過ごします。

 集落の中なので周囲にLEDの明るい街灯がいくつもあり、昔は満天の星空を楽しめたのですが最近は星を見るには向いていません。それでも都会より多くの星を見ることはできます。時には上空を国際宇宙船(ISS)  が音もなく静かに横切って行くのを見ることもできます。

蓼科山をバックに 菜園とプレハブの秘密基地
ピザ窯 食卓 石油ランプの光で料理とワイン


 先日は庭の桜と山梨の木が大きくなり枝が電線にかかってしまったので集落の業者に頼んでクレーン車のアームにゴンドラを付け伐採、枝おろしをしてもらい、その幹と太い枝をチェーンソーで玉切りにして軒下に積んで薪用に乾燥させています。

 春には庭先でフキノトウやタラの芽を収穫することができ、夏には真紅のコクリコの花が咲き乱れます。この秋にはアケビの実がいくつも口を開けて生っているのを見つけました。
 約400年近く昔、集落ができる前は殿様の鹿の猟場だったそうで、今は鹿狩り神社が集落の氏神様だし、集落周辺の畑には鹿の侵入を防ぐ防護ネットや電気柵が設置されています。
 鹿と違って特別天然物として保護されているニホンカモシカは図々しくて庭のすぐ下にやってきたこともあります。

訪問客 ニホンカモシカ
令和3年OB会報NO52より抜粋