懐かしき我らが山小屋、伝蔵荘
3期(昭和39年卒) 後藤 龍男

 伝蔵荘を取り壊しました。50年前、まだ新婚そこそこの若かった頃に、TUWVの仲間達と語らって北八ヶ岳山中に作った山小屋です。メンバーは松木、佐藤、遠山、小俣、生駒、安部、後藤(3期)、及川(4期)、桜、渋川、藤田、原田、朝倉(5期)の13名で、このうち安部、生駒、遠山、渋川の4名はすでに鬼籍に入っています。

在りし日の伝蔵荘


  取り壊しの動機になったのは、なんと言ってもコロナとメンバーの高齢化です。この50年間、春夏秋冬、メンバー同士や友人、家族連れでたびたび訪れ、山歩き、山菜採り、ゴルフ、スキーなど、さんざん伝蔵荘を楽しんできましたが、ご多分に漏れず一昨年のコロナパンデミック以降、ほとんど誰も出掛けなくなりました。メンバーの高齢化がそれに輪をかけました。山小屋の維持はメンテナンスが大変です。気力、体力が要ります。山中の山小屋ですから、行き帰りは車を使わなくてはなりません。少し前までは造作なく出来ていたことが、次第にままならなくなってきました。メンバーであれこれ協議し、まだ目の黒いうち、頭と身体が動くうちに取り壊そうと言うことになりました。

 伝蔵荘は標高1300mの北八ヶ岳の北東斜面、佐久穂町(旧八千穂村)が運営する唐松林の別荘地の中にあります。敷地面積は約300坪。町からの借地なので、建物を取り壊した後は整地して町に返却しなければなりません。そのための解体費用が200万円近くかかりますが、幸い今まで積み立てていた会費の残りでなんとかまかなえることが分かりました。

 その打ち合わせを兼ねて、5月に久し振りの例会を開きました。例会はメンバー全員が集まるために、毎年春と秋に開催する恒例行事ですが、最後に開いたのはコロナ前の2019年秋です。実に2年半ぶりのことで、これが最後の例会になりました。

伝蔵荘最後の例会


 その後松木君が地元の解体業者を手配してくれて、9月30日に解体作業が終わり、整地した跡地を佐久穂町に返却しました。写真は、最後の例会時の伝蔵荘と、解体整地された伝蔵荘跡地です。長らく愛しんできた伝蔵荘が跡形もなくきれいさっぱり消えてなくなっています。この写真を見ると、懐かしさがこみ上げて来ていささか胸が詰まります。

伝蔵荘跡地

 解体工事費用が40万円余ったので、これを使って盛大に伝蔵荘忘年会をやろうと言うことになりました。幸い全国旅行支援が始まったこともあり、一人あたり優に5万円は使えます。いつもの安宿での忘年会ではなく、多少奮発して2泊3日の豪華温泉旅行をしようと言うことになりました。

 宿は信州渋温泉の歴史の宿、金具屋を選びました。昭和3年に完成した木造4階建ての宿は登録有形文化財だそうで、源泉かけ流しの温泉と共に、いまから楽しみです。


 伝蔵荘を運営するために作ったWebサイト、「伝蔵荘HP」があります。
伝蔵荘なき後も、伝蔵荘を偲ぶためのモニュメントとして残しておこうと思っています。是非ご笑覧下さい。

【伝蔵荘HP】  http://www7b.biglobe.ne.jp/~denzaso-2/

令和4年OB会報NO53より抜粋