信越本線アプトの道 と 旧中山道碓氷峠越え
8期 (昭和44年卒) 相原 敬
 信越本線の碓氷峠区間(横川〜軽井沢)は、アプト式を導入して明治26年に開通しましたが、急勾配(11.2km標高差552.5m)のためトンネルと橋梁の連続でした。その後の物資や乗客の増加を背景に信越本線新線に衣替えしたのが昭和38年、そして平成9年には北陸(長野)新幹線開通によって碓氷峠区間は廃線になりました。

平成13年には安中市によって廃線跡に遊歩道『アプトの道』が整備され、横川から第三橋梁めがね橋まで歩くことができます。(現在は熊ノ平駅跡まで延長)

信越本線 碓氷第三橋梁『めがね橋』2022.11.12


 中山道は、江戸・日本橋を起点に五街道(東海道、中山道、日光街道、奥州街道、甲州街道)のひとつとして整備発展しました。碓氷峠は急峻のうえ落石も多く中山道有数の難所で、峠の前後には坂本宿・軽井沢宿が置かれ当時の旅人のSA的存在でした。坂本宿と旧碓氷峠の標高差は740mもあります。

幕末期の皇女和宮内親王が徳川家茂に降嫁するとき、また明治天皇が全国を巡幸する際には、それぞれ大規模な専用道が造成されています。その後、従来の南側に新道(旧国道18号)が作られ、更に碓氷バイパスの開通を経て、上信越道へと変遷を遂げています。

 孫を連れてあるいは山仲間と共に、アプトの道は何度か歩いたことがあります。めがね橋は長さ91m、高さ31m、日本最大のレンガ造リアーチ橋で観光の名所でもあります。

 先日、めがね橋を起点にして旧中山道出合まで、夫婦二人だけで碓氷の秋を満喫してきました。そのルートには明治天皇巡幸道も含まれていまして、古き良き時代にタイムスリップしたようなゆったり感が漂っていました。他に歩く人の姿はありません。静かで贅沢なトレッキング。時まさに紅葉真只中でありましたから、果てなき色彩に酔いまくり大会でした。

坂本宿(碓氷湖)から旧中山道を登って、碓氷川沿いに巡幸道を下りアプトの道を坂本宿に戻る。人知れず素晴らしい紅葉ルートですが ・・・ 果たして一年後の秋に歩けるだろうか?

旧中山道の急峻な区間を迂回する明治天皇巡幸道の秋 2022/11/12
令和4年OB会報NO53より抜粋