台湾の土木遺産
7期 (昭和43年卒) 真尾 征雄
 日本の「土木遺産」て、ご存じでしょうか? それは、社団法人土木学会が国内の歴
史的土木構造物のうち保存に資する構造物群を「土木遺産」と認定した土木構造物のことです。不思議なことに、台湾に二つの「土木遺産」があります。

@   台南水道:竣工は1922年。浜野弥四郎氏の計画・設計・施工監理による、当時の   最新技術である急速濾過法を採用した大規模な浄水場である。

A   烏山頭水庫:水庫とはダムのことで1930年竣工。八田與一氏の設計・施工監理に   よる当時のアジア最大のダムである。灌漑により嘉南平野を一大穀倉地帯に変貌   させる貢献をした。

 私は2012年歴史遺産をめぐる会の仲間29名で烏山頭ダムを訪問しました。そのダムによってできたダム湖「珊瑚潭」は満々と水を貯え、農業用水路には水が勢いよく流れていました。八田與一の銅像の前には70周年墓前祭のための準備が整っていました。
日本からも遺族の方を含め200名近くが、台湾からは副総統以下多くの方が参列し、日台合計700名の参列者とのことでした。日本では、とても考えられない盛大な慰霊祭でした。

 ダムサイト近くには、八田與一紀念公園が整備され、往時の居住宿舎が復元され公園になっています。台湾では中学校の歴史教科書に八田與一のことが書かれており、子供からお年寄りまでもっとも尊敬される日本人として知られています。



 2011年の東日本大震災の時に、台湾から官民問わず大きな支援が寄せられたこと、ご記憶のことと思います。中国には「水を飲むときには、井戸を掘った人を忘れない」という諺があります。台湾の方たちには、まさにこの諺が生きているのだと思います。

 2023年12月にはもう一つの土木遺産である台南水道を仲間と訪ねてきます。当時の施設が取り壊されることなく国家指定博物館として残っているそうです。どのように保存され、どのような説明をされるのか興味津々です。
令和5年OB会報NO54より抜粋