ボクの北八ヶ岳 |
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ボクの名は「岳弘」。妹は「雪子」。ごらんのとおりボクたちは親の趣味を押しつけられて人生のスタートを切りました。その日(OB山行)も本当はボクは風邪が治り切っていなかったのです。三日前高熱で幼稚園を休んで、未だに微熱が続いているのに、お母さんは自分が山に行けなくなるのをひたすら恐れて決してボクの体温を測ろうとしません。微熱をおしてボクはこの〇〇〇〇メートルの麦草峠まで一息に引きずりあげられてしまいました。お母さんだけ「久しぶりの清々しい山の冷気!」とか言って感動してるけどボクとゆっこはいい迷惑でした。 ア〜ア、それにしてもひどかったのは高見石からの延々と続くあの石がゴロゴロの下りだよな〜。4才にしてボクは賽の河原をそれこそ死ぬ思いで下ったのです。お母さんたちにはひとまたぎでもボクにとっては岩登りも同然、なかなか前進しないから足は冷たくなるし惨々でした。お母さんたちは革靴だけどボクは700円のただのズックだもの。 そろそろエンストおこそうかと思って座っているとOBの仲間と出会い「坊やエライナァ〜」なんて言われるとまた腰を上げざるをえなくなってまた歩くけど、もともとエネルギーが尽き果てているから再びエンコしてしまって、こんどこそだだこねて、ひとつ誰かにおんぶしてやろうかと思っていると、またひょっこり仲間が現れて「岳弘君すごいなァ〜」なんて驚異と尊敬のまなこで見られると、またまた奮起せざるをえなくなる。かくしてボクは諸々のハンディを克服してとうとう麦草峠から渋の湯温泉まで自力で歩きとおしたわけです。これじゃ明日は8度の熱間違いなしだ。
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