最近のTUWVの活動と学生気質
ワンダーフォーゲル部・部長  16期(昭和52年卒) 植松 康
[最近の学生]
 私がワンダーフォーゲル部と直接関わるようになったのは副部長に就任した16年程前からです。その後2003年4月から部長を務めさせて頂いています。ちょうどその年の7月に「国立大学法人法」が制定され、「国立大学法人東北大学」となりました。これに伴い、大学における安全管理が厳しく問われるようになり、課外活動における事故防止と事故発生後の対処方法について大学上層部からしばしばお達しがありました。ワンダーフォーゲル部は他の運動部に比べて事故発生の可能性が高く、もし不注意で大きな事故でも起きようものなら部長としての管理責任が問われかねません。しかし、危険だからこそ十分な企画検討を行い、山行中も慎重な行動をとるよう学生に心がけて貰っています。その甲斐あって、これまで大きな事故は起きていません。

 自分が現役部員だった頃のことを考えてみますと、二次新が終わった後の新歓コンパ(「三次新」と称していました)では、毎年一人や二人は救急車のお世話になったものでした。結構無茶なことをやっていました。今、学生があんなことをやったら、きっと私の首は繋がっていないことでしょう。幸い、この頃の学生は後輩にお酒を強要することもありませんし、酔っ払いは格好悪いことと考えているようで、年に二度行われる総会や卒業式でも安心して一緒にいられます。その意味では、昔に比べて随分大人になったと思います。

[大学でのクラブ活動]
 「大学は学問をする所であるからクラブ活動なんて不要」という極論を唱える教授もいますが、クラブ活動(特に、学友会の運動部)は人間形成の上で極めて重要であると私は思っています。「健全な肉体に健全な魂が宿る」と言われます。大学時代のクラブ活動を通して、体力、忍耐力、集中力、協調性が培われ、その後の長い人生を過ごす上で大きな武器になることは間違いありません。毎年、数名の進入部員が入ってきますが、前期総会の時、「4年間続け、私から卒業証書を受け取って欲しい」と進入部員に毎年必ず言っています。その甲斐あってか、退部者率(入部者数に対する退部者数の割合)はそれほど高くはないようです。しかし、分母となる入部者数が最近少なくなってしまったことが残念です。練習は週二回、参加は自由、しかも、宮城学院と一緒、といった楽で楽しげなサークルが数え切れない位あり、そちらへ流れてしまう学生が非常に多いのです。気骨のある学生が減ってしまったのは残念です。何が悪いのでしょうか。

 私の研究室にはどういう訳か、体育会系の学生が多く入ってきます。残念ながらワンダーフォーゲル部の学生はいませんが、ボート部、アメフト部、陸上部等々。毎日のように練習があるので、普段の成績は決してよくはありません。しかし、私はそんなことは全然気にしていません。クラブ活動を一生懸命やっている学生は、やる時にはちゃんとやります。大学院に進んだ時には、自ら進んで研究をします。

[TUWVの最近の活動]
 新歓、第1次および第2次新練、旧練と続き、夏合宿に向けたプレ合宿が2〜3回、夏合宿、秋合宿というのが、最近の一般的な合宿パターンです。私が現役の頃と比較すると、春合宿はなく、訓練合宿が終わるとすぐに夏合宿のメンバーでプレ合宿に入ります。また、最終合宿は行っていません。過去約2年間の合宿の様子を示しますと以下のようです。

  2006年秋合宿:八ヶ岳(縦走)
  2007年夏合宿:西表島(沢)と無人島(自給自足の生活)、2007年秋合宿:北アルプス(縦走)、
  2008年夏合宿:知床(藪)、2008年秋合宿:南アルプス(縦走)

 以前からよく行われてきた縦走に加えて、藪や沢の割合が最近では増えています。上述しましたように、部員数が1学年数名ですので、1パーティか2パーティしか組めないのが実情です。

 このような合宿のほか、フリー山行も沢山出ています。藪や沢に加えて冬山にも出かけています。最近では、2007年夏合宿の「無人島」のように、一風かわった合宿もあります。上越の藪の後青春18切符を使って四国に渡り、四万十川の川下りをやったり、仙台から月山の麓までサイクリング、月山に登った後またサイクリングで仙台に戻るといった企画など、ユニークなワンデリングがあり、時々驚かされます。

[TUWVの輪]
 先日の創部50周年記念パーティには全卒業生の約40%に当たる約220名もの方にお集まり頂きました。この高い出席率を他の人に話すと、口を揃えて「信じられない」と言います。これが文字通り「同じ釜の飯を食べた」TUWVの輪だと思います。記念行事には現役部員も全員出席し、OB,OGの皆様から様々なお話を伺うことができたと皆大変喜んでいました。私は、総会時など、学生に「就職の時、仕事で困った時には、ワンゲルのOB,OGに遠慮なく相談しなさい。仮に面識がなくてもワンゲル部員あるいは卒業生だと言えば、親身になって相談にのってくれるはず。」といつも言っています。それが決して間違いではなかったと確信しました。現役部員とOB,OGの輪をもっと大きく広げることができればと期待しています。
平成20年OB会報NO39より抜粋