松木沢ジャンダルム登攀 | ||
![]() |
||
ジャンダルム全景(中央下部の垂壁が取付き) | ||
ジャンダルムと言えば奥穂高岳が本家であるが、松木沢のジャンダルムもなかなか立派である。昔はかなり登られていたようで、古いハーケンやリングボルトがいたるところに打たれており、先人の熱い思いが伝わってくる。登攀のレベルが上がり、マイナーな存在となっていたが、最近はまた訪れるクライマーが増えてきたようである。アプローチが1時間強と短いのが魅力の一つである。 我々二人も、晩秋の冷たい沢を渡渉して岩壁の基部にたどり着いた。基部に立つと、遠くから眺めていたのとは違った迫力がある。谷川岳・一の倉沢衝立岩のような大きな一つの岩壁ではなく、いくつもの垂直の壁が折り重なっているような岩壁である。そのため高度感には欠けるが、ルートファインディングの難しさがあり、アルパインらしいクライミングを楽しむことができる。 今回は3日間で3ルート登った。最初の日は、比較的登られている中央壁の「直上ルート」を登った。名前からしても、このエリアの代表的なルートのように感じである。しかし、登ってみると、他の有名な岩壁とは異なり、ボルトなどはほとんど整備されておらず、古いハーケンやボルトがたまに出てくる程度であり、基本的には自分でルートを選び、クラックにカムを入れてランニングビレイとしながら登るので、アルパインクライミングの原点に戻ったような喜びがある。岩が脆く、特にテラスには岩くずが堆積しているため、技術的難しさより、浮石を掴まないようにし、落石を起こさないように神経を使うことになる。これもアルパインの一つである。 |
||
直上ルート1P目のクラック | ||
ルートによって異なるが、6ピッチ程度で岩壁の頭に立つことができる。最後は、多少被った壁に走るクラックに沿って、ガバホールドを掴んで大胆に乗り越える。 他に誰もいない岩壁の頭に立ち、午後の日差しを浴びる松木沢を見下ろすと、この岩壁を登ってきたという喜びが湧いて来た。 |
||
植林されている方々が運営している茶屋「みちくさ」 | ||
![]() |