念願の知床岬へ
61期 (令和4年卒) 柳田 翔平

   2024年8月16日〜19日
   メンバー:61期(橋・柳田)、62期(若山)


 TUWV現役時代に志した知床岬の踏破。学部2年時(2019年)に夏合宿を企画し実行するも天候不良と準備不足が重なり敗退。翌年以降は、コロナ禍での活動制限により再挑戦の機会を失った。現役を引退した後も、消化不良の状態が続いていた。大学院での研究生活にも慣れた頃、雪辱を果たすべく2019年当時の一部メンバーと再挑戦を決意し、今夏の実行に至った。

 2019年当時は、藪漕ぎで知床半島の中央尾根を縦走して岬を目指すという計画であったが、現役を引退して体力と気力が衰える今、40kg近い荷物を背負って藪漕ぎをする気にはならず。早々に藪漕ぎではなく、比較的情報の多い海岸トレッキングで知床岬を目指す計画にした。海岸トレッキングは決して楽ではなく、ヒグマ、巨岩帯、足裏が痛くなる石浜、干潮時のみ通行可のトッカリ瀬・剣岩、15kg程度の荷物を背負ってのへつり、落差100mの昇降といった困難が次々と降りかかる。

知床半島先端部の概念図


 実際、海岸トレッキング後の数日は、体に負ったダメージにより普通に歩けなかった。
知床半島先端部は日本有数の危険地帯なため、山行やロープワーク等の経験値の他、十分な体力が必要な場所であった。

 アプローチを含めた実際の日程とおおまかなルートは次の通りである。

 ・8月13日(火)仙台港 発(太平洋フェリー)→
 ・8月14日(水)苫小牧港 着→新千歳空港 発(ANA)→女満別空港 着→網走駅で野宿
 ・8月15日(木)網走駅 発(JR)→知床斜里駅 着→羅臼町→相泊で野宿
 ・8月16日(金)相泊から海岸トレッキングスタート→近藤ヶ淵の手前で野宿
 ・8月17日(土)近藤ヶ淵→知床岬→滝ノ下で野宿
 ・8月18日(日)滝ノ下→近藤ヶ淵にて時化による停滞→メガネ岩の手前で野宿
 ・8月19日(月)メガネ岩→相泊まで帰還→羅臼町にて宿泊
 ・8月20日(火)羅臼町にて解散

知床岬にて記念撮影 (左から 若山、柳田、高橋)


 TUWV現役時代では、2回の夏合宿(2018年・2019年)がエスケープに終わったこともあり、最長でも2泊3日の山行しか経験していない。今回、現役の時よりも長期の野宿を経験したことはなんとも皮肉であるが、これでワンゲル部出身として胸を張れる気がする。

  知床半島はその険しい地形も相まって天候が変わりやすい。晴れたり、暴風が吹いたり、雨が降ったり。運良く、岬に到達した際には晴天に恵まれた。岬の台地は草原地帯になっており、荘厳な雰囲気に包まれていた。岬までの道のりは険しく大変だったが、念願の岬に到達できたことは嬉しかった。岬で撮影した写真に写る満面の笑みが物語っている。知床岬の他には、崖を登った先に見えたモイレウシ湾の美しさが印象深い。まさに、「困難を乗り越えた者にしか見えない景色」であった。岬からの帰路、へつりの難所である近藤ヶ淵にて荒波に飲まれるという凄絶な経験をしたが、安全への備えとこれまでの経験もあり無事に生還。特に、同行してくれた2人には感謝したい。また今回、ヒグマを一切見かけなかった。実際、今年の知床半島先端部ではヒグマの目撃件数が減っていた模様。総じて、強運に恵まれていた。※詳細な記録はWeb上に別途掲載予定。

美しきモイレウシ湾

近藤ヶ淵手前で疲れ切ったメンバー

知床岬から見えるオホーツクの景色
令和6年OB会報NO55より抜粋